近ごろ都に流行るもの

「『ととのう』サウナ」健康とビジネスに効く⁉ 恍惚の温冷浴

銭湯再生のカギ。サウナ室の扉の前に水風呂、露天の外気浴スペースへと続く=東京都墨田区の「黄金湯」
銭湯再生のカギ。サウナ室の扉の前に水風呂、露天の外気浴スペースへと続く=東京都墨田区の「黄金湯」

今、サウナが熱い! 「ととのう」と呼ばれる、独特の恍惚(こうこつ)感が得られる温冷交代浴の作法が広がり、若者や女性のサウナー(愛好家)が増加。ととのう→疲労が取れて頭がスッキリ→仕事のパフォーマンスが上がる…との評判も広がり、企業内に続々とサウナ部が誕生している。コワーキング施設の併設など進化系サウナの登場とともに、長引くコロナ禍で家庭用サウナも絶好調だ。収束後を見据えた「サウナ旅」が企画されるなど、サウナビジネスが活気づいている。

ヒリヒリと暑苦しい…。サウナに苦手意識を持っていた筆者だが、入り方を間違えていたようだ。「ととのう」を体感するには、サウナ→水風呂→外気浴のルーチンで、体内にめまぐるしい変化を起こすことが重要という。「医者が教えるサウナの教科書」(ダイヤモンド社)で知った。

サウナ書籍が活況のなかJTBパブリッシングは今月、「るるぶ」シリーズ初となるサウナ編「るるぶ サ活 首都圏サウナガイド」を発行した。「サ活」とは、前述した温冷交代浴=サウナ活動のことだ。

入社2年目の編集者、井手野裕斗さんが企画。ブームの火付け役となった漫画「サ道」の巻頭著者インタビューに、最新から聖地までサウナ37施設を紹介し、「ととのう」に導く豆知識や情報が一覧できる。

「実際に体験し、サ活を堪能できた施設を選定。サウナから水風呂、外気浴への動線を、読者がイメージできる表現を心がけた」と井手野さん。「コロナ収束後にはサウナーの憧れ、フィンランド版のるるぶを発行するのが僕の夢です」

企業人もサウナブームを盛り上げている。一昨年4月、JAL(日本航空)とコクヨの社員の呼びかけで「企業サウナ部アライアンス」が設立された。7社でスタートしたが、賛同企業が続々と集まり2年半で73社に拡大し、各社部員合計は推計1500人以上。女性率も高く、370人が所属するJALサウナ部の男女比は6:4という。

目指すのは「サウナを通じた日本ビジネスシーンの活性化」だ。交流は企業間コラボに発展し、サウナを起点にした旅の魅力を発掘する「日本全国 ご当地サウナ委員会」などのメディア創設、イベント、グッズ製造と、多彩なサウナの新規事業が生まれている。

サウナを強化することで苦境の銭湯再生も図られている。昨年に大規模改修した東京・錦糸町の「黄金湯」は半露天の水風呂(男湯、水曜のみ女湯に入れ替え)が人気を呼び、今月中にも宿泊やサウナ飯も楽しめる新スポットとして、アップグレードされる。

「若者や女性のサウナーがSNS(会員制交流サイト)で積極的にサ活を発信している盛況の裏で、コロナ禍による既存店の廃業も多い」。サウナ設備最大手、メトス営業部の佐野貴司さんは厳しい業界の現実を指摘した。逆に増えているのが家庭用サウナだ。

「テレワークなど働き方が変わったことで『家にもサウナ室がほしい』という注文が多く、一部生産が追い付かない人気です」。売れ筋は、石に水をかけて蒸気を満たすロウリュができるサウナ室で、1平方メートル強の2人用から約2平方メートルの3人用で165万~187万円(工事・搬入費別)。

一方、スウェーデンの家庭用スチームサウナが体験できるのが、東京・神宮前「アヴァント」ショールームだ。「日本はドライサウナが中心なので、まずはこの心地よさを体感してほしい」と金子仁美社長。

「アヴァント」ショールームで家庭用スチームサウナを体験。蒸気がパワフルだ=東京都渋谷区

ドアを開くと真っ白な湯気に包まれた。パワフルな熱いスチームが頭や顔から足元までの裸の皮膚に、モクモク迫る異次元世界。体験後は全身の毛穴汚れが落ちたような爽快感だ。マンションの既存浴室にも取り付け可で価格は工事費込み150万円から。富裕層を中心に注文が増えている。

そんな北欧スタイルを夢見る一方、日本には古来より海岸に「石風呂」という天然のサウナがあった。この機運で復活してほしい。(重松明子、写真も)

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