一聞百見

ラジオ局からの独立 チグニッタCEO・谷口純弘さん

産経ニュース

湧き出る「やりたいこと」

「当時、ソニータワーがFM802のスポンサーでもあり、タワーの催事でアートの企画をやろうということになって。ストリートアートを応援しようということで、そのころ雑誌ぴあ関西版の編集長だった石原卓(まこと)さんと一緒にアーティストを募集し、オーディションを行いました」

 「僕が楽しくやっているのを見て、みんなも楽しくなってくれれば」と語る谷口純弘さん=大阪市西区(前川純一郎撮影)
「僕が楽しくやっているのを見て、みんなも楽しくなってくれれば」と語る谷口純弘さん=大阪市西区(前川純一郎撮影)

アーティスト発掘の仕事は、ここがスタートになった。たとえば、現在放送中のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の音楽を担当する映像作家で作曲家の高木正勝、CDジャケットや書籍のイラストで売れっ子の中村佑介らはここから巣立っている。

彼らのポスターを見たロックバンドのGLAYからもグラフィックの仕事が来るようになるなど、アート系の若者にとっては、まさに登竜門になった。

岡山大学の学生だったカンバラクニエは大学院進学を考えていたが、平成11年、自身の作品がFM802のポスターに採用されたのを機に「イラストレーターになります」とアートの世界へ。「若い人の人生を変えたわけですからね。責任も重大です」

そこで、広告を取って彼女の作品でFM802のアートブック「digmeout(ディグミーアウト=わたしを見つけて)」を13年に作ったら、見事に5000部を完売。本はパリのポンピドゥーセンターの売店にも置かれ、海外でも注目されるように。

「ディグミーアウト」はそのままFM802のアート新人発掘プロジェクトの名前にもなるのだが、こうした活動を企業も放ってはおかなかった。たとえば、京阪電鉄が京橋駅の40メートルのスペースに作品を作るというのでアーティストのオーディションをしたり、りそな銀行がキャッシュカードのデザインを依頼してきたり…。世界的企業のナイキのポートランドの本社に招かれたこともあった。

「平成16、17年です。日本のポップカルチャーが注目されていて、CEO(最高経営責任者)のマーク・パーカーがフィギュアのコレクターだったこともあり、『フィギュア、作ってよ』といわれて通っていました」

23年に、当時のJR大阪三越伊勢丹と共同でアートギャラリー「DMOARTS」をスタート。台湾のアートフェアに出展したのがきっかけで、多くのアジアのアーティストと知り合いになり、27年からは大阪にアジアのアーティストを招いて「UNKNOWN ASIA(アンノウン アジア)」というアートフェアを開催したりと、気が付けばアートにどっぷりとつかっていた。

「誘われるまま、『ちょっとでもおもしろくできへんかな』と思ってやっているうちにこういうふうになってました」

しかし、本当にやりたいことがいまもどんどん湧き出てくる。「あと2年で定年だから、会社をやめなくてもよかったのですが、待ちきれなくて」

独立し、自分の名を逆さにして名付けた会社チグニッタは夢の遊び場なのだ。やりたいことがあれば、クラウドファウンディング(CF)で資金を集めればいい。実際に大阪発のレコードレーベル「チグニッタレコード」をCFで立ち上げ、米国の新人をデビューさせたばかり。こうして、ひとつ、「レコード少年」のころの夢をかなえた。

「京町堀ってクリエーターが多いんですよ。そこに、いろんな人がいろんなものを持ち寄れるスペースを作りたかった。みんなが集まってパパ・ママの会のようなミーティングをし、ときにはフリーマーケットをしたり、靭(うつぼ)公園ランニングクラブっていうのもいいなあ。若い作家にインタビューをしてSNSで発信するというのもやってみたい」

楽しみは、果てしない。(聞き手 正木利和)

たにぐち・よしひろ 昭和38年、京都府出身。関西大学を卒業後、大阪のデザイン会社を経てFM802でアート部門を担当。若い美術作家を起用して有名企業のプロモーションをしたり、アジアの若手美術家の登竜門「アンノウンアジア」などのプロジェクトを手がける。ことし、大阪市西区京町堀にコミュニティースペース「チグニッタ」を立ち上げた。

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