一聞百見

ラジオ局からの独立 チグニッタCEO・谷口純弘さん

産経ニュース

米国の広告に魅了され

永井博の作品を背景に語る谷口純弘さん=大阪市西区(前川純一郎撮影)
永井博の作品を背景に語る谷口純弘さん=大阪市西区(前川純一郎撮影)

いつも飄々(ひょうひょう)としている。

「新聞に掲載される写真を撮影するのだから、せめて襟付きのシャツを着て、とパートナーの笹貫(淳子さん=チグニッタ共同設立者)に言われました」

というと、おもむろにTシャツの上から羽織ってボタンを留め始めた。

なんとも自由な人だ。

生まれは京都市。しばらくして府内の八幡市に移り住んだ。「中学、高校と地元の公立校。近くのくずはモールでレコードをよく買ってました。高校のころ、ボズ・スキャッグスなどのAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)がはやったんですよ」

184センチの長身だから、きっと何かスポーツをやっていたに違いないと思ったら、まるで縁がなかったそうで、放送部に出入りしてザ・ビートルズの曲を校内放送でかけたりする「レコード少年」だったらしい。

雑誌ポパイを愛読し、米国の映画監督で俳優でもあるウディ・アレンにあこがれる、なかなかのシティ・ボーイ。

「おたくっぽい人なのにスター。ファッションも『カッケー(かっこいい)』と思って」

そのあこがれが、人生を左右することになる。

日本がバブル時代へと進んでゆく入り口にあたるこのころ、アレンがコピーライター、糸井重里の作った「おいしい生活」のキャッチコピーとともに西武百貨店のポスターに登場した。このころから、コピーライターは、ちょっと意識の高い若者たちに人気の職業となってゆく。

「当時は広告というものに影響を受けていましたね。『広告業界に入って、ウディ・アレンと仕事をしたい』と思って大学(関西大学)はマスコミを専攻しました。アメリカにかぶれ、グラフィックデザインや写真などアメリカの広告の勉強ばかりしてました」

卒業後、大阪のデザイン会社に就職した。そこで中島らもたちが教えていたコピーライターの養成講座に顔を出しているうちに、FM802の開局に携わっていた藤村滋弘さん(現アート・音楽プロデューサー)と仲良くなった。

「藤村さんが、勤めているラジオ局をやめてFMを立ち上げるというときで、『手が足りない』というのでデザインなどの手伝いで内職に行ってたんですが、クロセイ(黒田征太郎)さんの802のイラストなどの評判がとてもよかった。結局、わたしも5年勤めた会社をやめて、802に入りました」

平成元年のことである。

「最初の仕事はいきなり『K2』に行ってこい、でした」

K2は、黒田と長友啓典が率いたデザインプロダクション。802のさまざまなデザインを頼んでいたが、なかでもバンパーステッカーは知名度アップに貢献したグッズだ。

「キャンペーンで何百万枚と配ったのですが、ネタがつきて、『あなたのデザインしたロゴで作りませんか』と募集したところ5000通も応募がありました。これは、802もアートを応援しないといけないな、という流れになって、長友さんから『谷口、お前やれ』と指名がきたんです」

FMラジオ局のアート進出は、こうしてスタートを切ったのだった。

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