コロナ直言(12)

季節性インフル並み「5類」にせよ 開業医・長尾和宏氏

産経ニュース

昨年の感染「第1波」から屋外にテントを張り新型コロナウイルスの診療を続けてきたが、今回の第5波は第4波までとは状況が全く異なる。インド由来の変異株「デルタ株」の蔓延(まんえん)で患者の年齢層が一変し、若い患者が多い。家族に感染者が出れば全員が感染するなど感染力の強さはまるで別の病気のように感じる。だが、これまでと違い症状が重い人しか入院対象にならない。

自宅療養を余儀なくされる患者には携帯電話の番号を教えてショートメールでやり取りし、大変そうならば電話を入れる。24時間、自宅療養者から続々とメールが届くが、重症者を見逃さない、死者を出さないという気概で1年半やってきた。最近、「野戦病院」という言葉が出てきたが、われわれは1年半前から野戦病院状態が続いている。開業医における通常診療とコロナ診療の両立に今でも悩み続けている。

《感染症法では、感染力や致死率などをもとに1~5類と「新型インフルエンザ等」などの類型がある。新型コロナは今年2月に「新型インフル等」に位置付けられ、2類相当、あるいはそれ以上の厳しい対応が求められている》

新型コロナに求められる対応は、1類感染症であるペストやエボラ出血熱と同等、ないしそれ以上だ。感染拡大初期こそコロナは得体のしれない感染症だったが、現在は違う。病原性や死亡率を考えるとペストと同じであるはずがない。

現行では、保健所が感染者の行動調査や入院調整を行うことになっていて、最も必要な医療が提供されるまで1週間もの時間がかかったりする。その結果、自宅療養中に重症化する人が後を絶たず、救急搬送された先の病床が逼迫(ひっぱく)する。重症化を待ってから慌てて対応しているかのように映る。コロナと診断されてすぐに必要な治療を提供できれば重症者と死者を減らすことができる。

《菅義偉(すがよしひで)首相は8月25日の記者会見で、医療体制構築と感染防止対策、ワクチン接種を挙げて「3本柱の対策を徹底し、この危機を乗り越えていくのが私に課された責任だ」と述べた》

政府は人流抑制やワクチン、そして病床の確保ばかり言う。病床が「最後の砦(とりで)」だとすれば、感染者を診断して即治療をする「最初の砦」の充実を図らねばならない。

これまで1年半もの間、初期治療ができない仕組みを放置してきたコロナ政策は理解ができない。ワクチンを優先的に打った開業医は、感染防御をしてコロナ診療に積極的に関わるべきだ。

医療崩壊とは保健所崩壊である。しかし、保健所の介在なしに開業医が通常医療を提供できる5類に変更すれば、早期治療が可能になり、医療の流れは劇的に良くなる。早急に季節性インフルエンザと同様の扱いに変更し、開業医が最初の砦になるべきだ。今こそ政治家は覚悟を決めて判断してほしい。(聞き手 鈴木俊輔)


ながお・かずひろ 長尾クリニック(兵庫県尼崎市)院長。東京医科大卒。新型コロナウイルスの感染拡大当初から治療にあたり、「町医者」の立場から積極的な情報発信を行う。著書「ひとりも、死なせへん」(ブックマン社)が9月14日に刊行される。


対象地域が計21都道府県に拡大した緊急事態宣言。波のように繰り返す感染拡大だが、それでも今は、ワクチンやノウハウがなかったころとは状況が異なる。今求められるのはどんな発想か。医療や飲食業界、人間の行動心理を専門とする3人が「直言」する。



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