【ニューヨーク=平田雄介】国連のグテレス事務総長は8月31日、米軍の撤収によりイスラム原理主義勢力タリバンの統治が実質的に再開したアフガニスタンについて、「人道上の大災害が迫っている」と深刻な懸念を表明し、国際社会に一層の支援を求めた。
アフガンは今年、深刻な干ばつに見舞われ、食料のほか、基本的な生活用品も不足している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、紛争によって住む家を失った人は今年だけで55万人に上り、現在約350万人が国内避難民となっている。
人道上の危機は住む家のある人にも及び、グテレス氏は声明で、国民の約半数に当たる約1800万人が支援を必要としていると指摘した。明日の食事にも困っている国民が3分の1に上り、「5歳未満の子供の半数以上が今後1年間で深刻な栄養不足に陥ると予想されている」と訴えた。
国連人道問題調整室(OCHA)は現在13億ドル(約1400億円)の資金提供を募っているが、達成度は約4割。グテレス氏は、支援物資を集め、必要な人に確実に届けられるよう各国とアフガン国内の全ての当事者に協力を求めた。