「対テロ戦争」終わっていない 中川浩一・三菱総合研究所主席研究員

産経ニュース
三菱総合研究所の中川浩一主席研究員
三菱総合研究所の中川浩一主席研究員

バイデン米政権は、外交の戦略目標を「対中国シフト」と「脱中東」に定めてきた。しかし「脱中東」を急ぐあまり、政権発足から間もない4月、期限を切ってアフガニスタンからの「無条件かつ完全」な撤収を表明した。イスラム原理主義勢力タリバンはこれを米国の「弱さ」と受け止め、撤収に合わせて実権を握るための準備を進めた。

ただ、米国の「対テロ戦争」が終わったわけではない。年末にはイラク駐留米軍(2500人)の戦闘任務完了が控えているが、米国はアフガンと異なり、イラクには戦略的価値を見いだしている。カブールで8月26日に大規模テロを起こしたイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)への対策には本腰を入れるだろう。その意味で米国は「脱アフガン」は果たしたが、「脱中東」を終えたわけではない。

今後、米軍なきアフガンの「力の空白」を埋め、同国情勢の行方を担うのは、近接する中国やロシア、イランだろう。とはいえ、それによりこれらの国々が利益を得るとはかぎらない。

中国はこの20年、米国のおかげでアフガンが「テロの温床」と化すリスクから守られてきた。ロシアもアフガン情勢を傍観していられた。だが、米国が去った今、両国はアフガンの地政学的かつ直接的な脅威にさらされる可能性が高い。そのため、中国はこれまでとは異なった形での米国の関与を強く求めてきている。

タリバンが領土をコントロールできずに過激派の流入を招くシナリオももちろんあり得るが、それが中東全域、さらには世界にテロの拡散をもたらすと考えるのは時期尚早だ。むしろ、米国のアフガン撤収という一手は、中露やイランにアフガン関与を深めざるを得なくさせるという点で、「対中国シフト」の観点からは必ずしも〝不名誉な撤収〟とはいえないのではないか。(聞き手 大内清)

  1. 値上げしてもよいと思うもの 3位「おむつ」、2位「ビール」、圧倒的1位は?

  2. 「ちむどんどん」賢三の名を聞いた三郎の反応が…意味深描写に「因縁ありそう」「賢秀を賢三が引き取った?」の声

  3. いい人?高嶋政伸演じる料理長に「ちむどんどん」「裏があるはず」の声…「HOTEL」思い出す視聴者も

  4. 市から突然1300万円請求…なぜ? 年金生活の80代女性に 専門家「今後数年で同様の高額請求を受ける人は増える」

  5. 中露〝蜜月崩壊〟習主席がプーチン氏見捨てた!? 「ロシアの敗北は時間の問題」中国元大使が発言 インドの浮上で変わる世界の勢力図