国連安全保障理事会(15カ国)は30日、アフガニスタンの実権を掌握したイスラム原理主義勢力タリバンに対し、希望者はいつでも海外渡航できるとした27日の声明を順守し、安全な出国を保証するよう求める決議案を賛成多数で採択した。米英仏など13カ国が賛成し、中露は棄権した。
決議は、アフガンの首都カブールの国際空港周辺で26日発生し、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)傘下の「ホラサン州」(IS-K)が関与を主張した、自爆テロを「最も強い言葉」で非難。
空港周辺で「さらなるテロが起きる恐れがある」として、米軍の撤収後も希望者が出国できるよう、空港を「早く安全に再開するための努力」をタリバンなどに求めた。
26日の自爆テロでは、IS-Kが「ジハード(聖戦)を放棄し、米国との和平に合意した」として敵対するタリバンからも犠牲者が出ている。
決議は、タリバンも「自爆テロを非難している」と明記。アフガン国内がテロリストを匿(かくま)い訓練する場にならないよう、タリバンの「適切な関与」を求めた。
中国の耿爽(こう・そう)国連次席大使は会合で「不安定な現地情勢を踏まえ、今は緊張を和らげる対応が必要だ」と主張。ロシアとともに決議案の修正を求めたが「完全な形で反映されなかった」と棄権の理由を説明した。
決議は、女性や子供、少数派の人権を守ることの重要性も再確認している。(ニューヨーク 平田雄介)