林裕福岡大准教授 アフガン「希望につながる手を」

産経ニュース
23日、アフガニスタンの首都カブールの国際空港で出国の機会を待つ市民ら(共同)
23日、アフガニスタンの首都カブールの国際空港で出国の機会を待つ市民ら(共同)

アフガニスタンには、日本の国外退避作業から取りこぼされている人々が数多くいる。政府開発援助(ODA)予算の削減などで解雇・契約終了となったアフガン人の「元スタッフ」たちである。日本の対アフガンODA予算は無償資金協力と技術協力の合計が2011年に約792億円に達したが、治安の悪化などによって18年には3分の1以下の199億円になり、減額に伴ってODAを現場で支えてきたアフガン人のスタッフも契約終了となった。今回の国外退避の対象は邦人のほか日本大使館や国際協力機構(JICA)の現職スタッフのみであり、元スタッフはこぼれ落ちた。

私が知る元男性スタッフからは悲痛なメッセージが届いた。「日本政府派遣の輸送機への搭乗は大使館、JICA、現在契約のあるスタッフのみで、自分たちは含まれていないと知らせが来た。正直に言うと、この知らせを聞いた後、とても悲しく思った。自分たちは、これが唯一の希望と思っていたが、残念ながら、自分たちは唯一の希望も失った」。彼は07年から日本のODA事業に協力してきたが昨年7月、事業終了に伴い契約が終わっていた。

そして、10歳の長男、7歳の双子の娘を抱える彼は、「もし自分だけしか国外退避の対象にならないのであれば行かない。たとえどんな未来が来ようとも、家族と一緒に運命を共にする」と話す。

日本の援助に協力してきた元スタッフへの危険は身近に迫っている。日本大使館やJICAは雇用していたスタッフの氏名などを含む納税情報をアフガン財務省に提出し、それらはデータベースに保管されている。報道によれば、タリバンはアフガニスタンの中央銀行などの職員に職務への復帰を呼び掛けている。タリバンが財務省に保管されているデータへのアクセスを確立すれば、各国大使館や援助に関わっていたアフガン人の情報が知られることになる。

元スタッフたちは命の危険におびえながら、救いを待っている。「今は親戚や友人宅を家族全員で不定期に移動し、できるだけ居所を1カ所に固定しないようにしている。買い物は10歳の長男に徒歩1分程度の店で買ってきてもらい、それ以外の時は家族全員で家にこもっている」という。

国外退避の対象となっている現職スタッフの移動も困難になっている。現在は首都カブール市内各所にタリバンの検問所ができ、「どこから来た。何をしにどこへ行く」と聞かれるようになった。このような状況は、スタッフたちが退避のために空港へ向かうことを困難にしているだろう。

今まで協力してくれたアフガン人を見捨てれば、日本が失うものは大きい。国連の持続可能な開発目標「SDGs」では「誰一人取り残さない」ことを原則としている。しかし、今のままでは現地スタッフたちが救援を待っているにもかかわらず、見捨てることになる。今まで築き上げてきた日本、日本人への信頼を損なうことになるだろう。彼らに「日本に裏切られた」「日本に見捨てられた」と思わせないためにも、31日の米軍の撤収期限以降も救い出す手立てを見いだし、私たちは「日本は自分たちを見捨てない」という希望につながる手を打つべきである。

はやし・ゆたか 昭和47年、福島県生まれ。平成28年、東大大学院修了、博士(国際協力学)。日本紛争予防センター・アフガニスタン代表事務所代表、国際協力機構(JICA)アフガニスタン駐在などを経て、30年4月から福岡大商学部准教授。専門は開発研究、アフガニスタン地域研究、平和構築。

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