【トップ直撃】国跨いだM&Aを円滑に進める日本と世界の架け橋 アップルではジョブズと一緒に仕事 芝綜合法律事務所・牧野和夫国際弁護士 - イザ!

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トップ直撃

国跨いだM&Aを円滑に進める日本と世界の架け橋 アップルではジョブズと一緒に仕事 芝綜合法律事務所・牧野和夫国際弁護士

 少子高齢化で国内市場が縮小する中、グローバル化を推進する日本企業の海外企業とのM&A(合併買収)が増えている。国が違えば法律や商習慣は異なる。そんな時、いわば日本企業の代表として、国と国の架け橋となり契約やプロジェクトを円滑に進めてくれるのが国際弁護士だ。第一人者の牧野和夫さんは「さまざまな分野の人との出会いが弁護士の基礎となっている」と言い切る。 (危機管理・広報コンサルタント 山本ヒロ子)

 --国際弁護士とは

 国際弁護士という資格はなく、国内と海外の弁護士資格を持っている人などの俗称です。国内の弁護士資格はなく、海外の弁護士資格を持っている人や、国内で弁護士資格を持っていて、クロスボーダー(海外)に関する案件を多数扱う弁護士もそう言います。

 --国際弁護士の仕事は

 最近はアジアを中心とした国際案件が多くなっています。例えば日本企業が、タイの企業のM&A(事業譲渡を含む)を行う場合、買収対象企業を現地の弁護士事務所とチームを組んで調査します。その調査結果を元に買収契約の草案を作成し、先方の弁護士事務所と契約交渉に入ります。弁護士に上司はいません。すべて自分の意思、判断で動かなければなりません。ある意味、企業のトップと共通したところがあります。

 --弁護士の原点になったのは

 スポーツカー「ピアッツァ」に憧れて、いすゞ自動車に入社し、法務部に配属されたことで、法務が生涯の仕事になりました。7年目にGM(当時いすゞの親会社)本社の「GMグループ幹部候補生のための特別研修プログラム」に留学。これがアメリカとの本格的な接点となりました。

 --その後は

 帰国して1年後、ワシントンDCのジョージタウンロースクールに留学。ミシガン州の司法試験を受験、合格して、同州の弁護士登録をして帰国しました。帰国後はいすゞの海外法務の責任者として、各国の合弁事業契約の交渉など世界中を飛び回りました。

 --忘れられない思い出は

 アメリカでは州弁護士の資格を取得して3年経つと、連邦最高裁の弁論資格を申請することができます。2006年、連邦最高裁の法廷で宣誓式が行われ、100人を超える州弁護士が参加。「カズオマキノ、ミシガン」と呼ばれ立ち上がると最高裁長官と目が合ってしまいました。長官から「合衆国憲法に従って誠実に弁論を行うことを誓いますか」と質問され、一斉に「I do」と答えました。連邦最高裁での弁論資格が認められた瞬間でした。日本でも同年、弁護士資格を取得しました。当時は、弁護士法第5条(いわゆる学者登録)で、大学院のある法学部の助教授・教授を5年間以上務めると、法務省の指定研修に合格後に日本の弁護士資格を取得できる制度がありました。

 --IT企業にも籍を

 ヘッドハンターの紹介で1997年、アップルコンピュータ法務部長に就任。iMac、iBookの販売、ネット店舗のApple Storeの立ち上げにも携わりました。インハウスローヤー(企業内弁護士)の醍醐味は、経営者と直接仕事をできることです。スティーブ・ジョブズCEOとは、知的財産権訴訟や独禁法事件で仕事を一緒にする機会に恵まれました。

 --メディアでは分かりやすい解説が好評です

 数年前からメディアサイト「オトナンサー」で法律コラムの執筆を担当。昨年からYahoo!ニュース公式コメンテーターも務めています。コメンテーターには一般の方が理解しやすい解説が求められます。それは、専門家向けの講演(年間100件以上)や研究論文・書籍(これまで78冊を上梓)でも同様で、分かりやすく簡潔に説明することが重要であることを学びました。

 --多くの大学で教鞭を取ってきました

 早大IT大学院や英国ウェールズ大経営大学院(日本校)など22校で、法律の基本的なことからインターネット法や国際取引法、知的財産法などについて教えてきました。継続している大学では今オンライン授業を中心に行っています。

 ◆オープンカーで絶景ドライブ

 【趣味】海外出張の機会に楽しむ観光。ロサンゼルスや沖縄では、フォード・ムスタングのオープンカーをレンタルし、「絶景スポットをめぐる夕日ドライブを楽しみました」。

 【赤ワイン】お酒は量を飲まないが、海外出張の際、お酒を飲めないことに損をした気持ちになり、少しずつ飲み始めた。赤ワインが好きで、ホテルで開催されるワインスクールで勉強中。

 【辛かったこと】いすゞ自動車時代に米国に留学。ミシガン州弁護士登録をして帰国後、猛暑の2カ月間、神奈川県藤沢工場のエンジン部品の組み立て作業に派遣された。上司のイジメだった。

 耐えることができたのは、「いつかは見返してやる」という思いから。上司に恵まれないことをプラスに考え、その後のキャリア形成の転機にもなった。サラリーマンに「上司の陰険なパワハラにあった時は、それをはね返す気概を持って頂きたい」とエールを送る。

 【読書】高校生の時に読んだ武者小路実篤の『人生論』が、その後の生き方の参考になり、最近は、稲森和夫氏の『生き方』の“利他主義”に感銘を受けた。

 昨年、雑誌「SDGs経営 永続する企業」(日本ビジネス出版)に、「創業者・鈴木忍氏が、家事で荒れた妻の手を何とかしたいとクリームを開発したことが、ポーラ化粧品創業の原点となっている」ことが紹介されていて感動した。

 同様に、松下幸之助氏が「日本中の母親を家事から解放してあげたい」という思いからパナソニックを創業したことに、「成功した経営者の原点を見た思いでした」。

 【家族】筑波大学大学院生(宇宙物理学専攻)の息子(24)と2人暮らし。妻は2017年に53歳で舌がんで他界。愛犬のヨークシャーテリア(牝の「ナナ」)も20年に13歳で天国へ。

 徐々に家族が減って寂しさを感じているが、「近所に住む母親(93)がおいしい物好きで、食べたいという食品を求めて走り回ることが多く、それが寂しさを忘れさせてくれます」。

 ◆未来を描くことは重要だ!!

 【未来予想図】いすゞ自動車入社間もない23歳の時、未来予想図を書いた。「海外留学は想定外だったが、概ねその通りにきているので未来を描くことは重要に思う」。先日出演したFMラジオ番組で出演者たちと議論しているうちに、「これからは、『宇宙法』や『人工知能法』の研究を深めていきたいと思いました」

 ■芝綜合法律事務所 代表弁護士は、辰野守彦(東京弁護士会・米ニューヨーク州)、萩原新太郎(第二東京弁護士会)。1988年4月「辰野・萩原法律事務所」開設。後に「芝綜合法律事務所」へ改称。国内・国際を問わず、顧客の最大の利益を達成することを目標とし、高度な総合法務サービスを迅速に提供するための広範囲な専門分野の弁護士を擁する。

 ■牧野和夫(まきの・かずお) 1958年9月生まれ。62歳。東京都出身。早稲田大学法学部卒業後の81年、いすゞ自動車入社。法務部課長、審議役を経て、97年ヘッドハンティングでアップルコンピュータ法務部長。2000年芝綜合法律事務所入所、国士舘大学法務部教授。06年弁理士・弁護士登録。その後、クレディスイス生命保険法務部長、大宮法科大学院大学(桐蔭横浜大学と統合)教授を歴任。

zakzak

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