【歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡】所属レコード会社社員にはボーナス9・5カ月分! 楽曲提供・井上陽水のアルバムも売れる「明菜効果」 - イザ!

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歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡

所属レコード会社社員にはボーナス9・5カ月分! 楽曲提供・井上陽水のアルバムも売れる「明菜効果」

明菜は3年目にして進化した
明菜は3年目にして進化した

 デビュー3年目を迎えた中森明菜は、自我に目覚め、作品や衣装に自身のセンスを反映し始めた。所属レコード会社のワーナー・パイオニア(現ワーナーミュージック・ジャパン)で担当プロモーターだった田中良明(現在は「沢里裕二」名義で作家活動)は、変化していく明菜を間近で見てきた1人である。

 「時代の空気感を敏感に嗅ぎ取る彼女の感覚は、どうしても旧世代的アイドル感で接触してきたわれわれスタッフとは真逆をいく感じでしたね。他のアイドルと大きく異なっていたのは、比較とか競争という意識がまったくなかったことでしょう。とはいえ、彼女がそんなことを論理的に語るわけはないですし」

 もはや明菜はアイドル歌手という概念では捉えられなくなっていた。が、一方で松田聖子は、明菜とは対照的にアイドル歌手の道を邁進(まいしん)していた。両者の違いが鮮明となったのが『飾りじゃないのよ涙は』だった。

 もともと明菜のボーカルにほれ込んだ井上陽水が自らプレゼンした作品だが、デビューから明菜の楽曲のディレクションを担当してきた島田雄三は「単にアルバム収録曲としか考えていなかった」という。当時を知る音楽関係者はこう話す。

 「陽水の作品に対するこだわりの表れでしょう。それほど明菜のボーカルにほれ込んでいたともいえますね。この作品は陽水が自らオケ録りした上、仮歌を自ら吹き込んでプレゼンしたといわれています。要するに完璧な形でのプレゼンです。当然ですが誰が聴いても素晴らしい作品だったことは言うまでもなく、単なるアルバム収録曲ではもったいないとシングル化が決まったのです」

 『飾りじゃないのよ涙は』は明菜の10枚目のシングルとして1984年11月14日に発売され、オリコンのシングル・チャートで初登場1位(11月26日付)にランクされると、『ザ・ベストテン』(TBS系)でも登場3回目の12月13日の放送で1位となった。前出の音楽関係者が振り返る。

 「84年は歌謡界でも歴史的な総決算でした。というのも『飾りじゃないのよ涙は』は聖子の『ハートのイアリング』(11月1日発売)とチェッカーズの『ジュリアに傷心』(11月21日発売)の間に発売されました。しかもチェッカーズは『少女A』の売野雅勇と芹澤廣明コンビがプロデュースするグループですから、業界内では1位争いが注目されました。結果は、オリコンではともに1位でしたが、『ザ・ベストテン』では明菜が登場3週目で激戦の末に『ジュリアに傷心』を制してトップに躍り出ました」

 ちなみに、その時の『ザ・ベストテン』の得点はチェッカーズの9562点に対して明菜は9619点だった。聖子の『ハートのイアリング』はオリコン2位、『ザ・ベストテン』でも2位。チャート上は明菜がややリードの年末となった。

 一方、陽水も『飾りじゃないのよ涙は』を収録したセルフカバー・アルバム『9・5カラット』を12月21日に発売した。

 「明菜への提供曲でしたが、陽水自身は自分でも歌える作品と考えていましたからね。しかも、仕上がりはともに遜色がなかったことから、明菜のボーカル力をクローズアップさせるだけのインパクトがあったことは確かです。アイドルからアーティストに脱却する1曲となりましたね。もちろん陽水にも飛躍の作品になりました。アルバムには『ダンスはうまく踊れない』(石川セリ)や『ワインレッドの心』『恋の予感』(いずれも安全地帯)も収めていましたが、やはり注目は『飾りじゃないのよ涙は』。結果、アルバムは160万枚を売り上げ、フォーライフではアルバムタイトルに合わせて9・5カ月分のボーナスが社員に出たほどでした」(音楽記者)

 まさに「明菜効果」の逸話とも言えそうだ。 =敬称略 (芸能ジャーナリスト・渡邉裕二)

 ■中森明菜(なかもり・あきな) 1965年7月13日生まれ、東京都出身。81年、日本テレビ系のオーディション番組『スター誕生!』で合格し、82年5月1日、シングル『スローモーション』でデビュー。『少女A』『禁区』『北ウイング』『飾りじゃないのよ涙は』『DESIRE-情熱-』などヒット曲多数。NHK紅白歌合戦には8回出場。85、86年には2年連続で日本レコード大賞を受賞している。

zakzak

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