【がんに克つ!iPSで変わる免疫療法】「NKT細胞」で新たな治療への期待高まる 35年前にさかのぼる研究 千葉大学医学部附属病院 - イザ!

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がんに克つ!iPSで変わる免疫療法

「NKT細胞」で新たな治療への期待高まる 35年前にさかのぼる研究 千葉大学医学部附属病院

千葉大学医学部附属病院
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 近年、がん治療の飛躍的な進展で予後を改善する人が増えた。しかし、完全に消失しないがんで命に危機が及ぶことが依然としてある。その打開策として、iPS細胞を用いた新たな免疫療法が誕生している。免疫療法はiPS細胞でどう変わるのか。昨年、世界初の臨床試験をスタートさせた研究者と医師に話を聞いた。

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 千葉大学医学部附属病院などの研究グループが、昨年7月、頭頸部がんに対する世界初の「iPS-NKT細胞」を用いた免疫細胞療法の治験を開始した。NKT細胞は、「ナチュラルキラーティー」細胞と称し、がんを攻撃する免疫(別項参照)のひとつである。

 「NKT細胞はリンパ球の一種で強い抗腫瘍作用を持っています。NKT細胞を持たないノックアウトマウスの研究では、NKT細胞がないと自然発がんの頻度が上昇すると報告されています」

 こう説明するのは、千葉大学大学院医学研究院免疫細胞医学の本橋新一郎教授。先の治験メンバーであり、長年、NKT細胞の最先端の研究に取り組んでいる。

 「NKT細胞は、サイトカイン(タンパク質の一種)を強烈に産生する能力があり、他の攻撃型の免疫細胞を活性化する力が強いのです。この作用を人工的に利用すれば、がんを根治させることにつながります」

 NKT細胞の歴史は約35年前にさかのぼる。

 1986年、千葉大学を含め世界で3つの研究室で発見され、新たな治療法を確立するためにさまざまな研究が行われてきた。97年には、NKT細胞を人工的に活性化する物質「αGalCer」(アルファ・ガラクトシルセラミド)が発見され、NKT細胞を人工的に活性化する技術も開発された。

 「人工的に活性化したNKT細胞を体内に戻すと体内の免疫も自然に活性化され、抗腫瘍効果が高まります。また、αGalCerを樹状細胞に提示させてNKT細胞を活性化すると、抗腫瘍効果がさらに高くなることもわかりました」

 樹状細胞は、がんを敵と認識すると、その特徴をT細胞など他の免疫にも伝え活性化する役割を担う。樹状細胞がαGalCerをNKT細胞に提示すると、より活性化しやすいという。その作用を活かし、患者の血液から樹状細胞とNKT細胞を採取して培養し、αGalCerで活性化して体内に戻す免疫療法が開発された。

 がんが縮小し予後が改善することも研究で明らかにされ、新たな治療法としての期待が高まった。

 「ただし、患者さんの採血した血液の中の免疫(白血球)に含まれる割合は、0・01%以下。治療で使用する量に増やすのが非常にたいへんだったのです」

 それを解決したのがiPS細胞である。次回くわしく紹介する。 (取材・安達純子)

 ■本橋新一郎(もとはし・しんいちろう) 千葉大学大学院教授(医学研究院免疫細胞医学)。1993年、千葉大学医学部卒。同大大学院医学研究科外科系呼吸機能学修了。同研究院免疫発生学特任助教授、同研究院免疫細胞医学准教授を経て2013年から現職。

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■がんへの攻撃で活躍する免疫の主な役割

 【樹状細胞】 がん細胞を敵と認識すると活性化し、その特徴(抗原)をT細胞などに伝える 

 【T細胞】 樹状細胞によって活性化し、その抗原によってがん細胞を敵と記憶し攻撃する 

 【NK細胞】 ウイルス感染した細胞や、がん化細胞を見つけると攻撃して排除する 

 【NKT細胞】 NK細胞とT細胞の特性を併せ持ち、強力な抗がん作用を持つ

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