【歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡】ほれ込んだ井上陽水自ら楽曲のプレゼン 「飾りじゃないのよ涙は」からの転換期 - イザ!

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歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡

ほれ込んだ井上陽水自ら楽曲のプレゼン 「飾りじゃないのよ涙は」からの転換期

すべてが衝撃だったシングルだ
すべてが衝撃だったシングルだ

 「中森明菜にとってデビュー3年目は最初の転換期だったのではないか」

 当時を知る、ある音楽評論家はいう。

 現場も慌ただしくなっていた。デビュー以前から明菜の楽曲制作を担当してきたディレクターとの間にも隙間風が吹き始めていた。

 「意思の疎通が取れなくなってきたのです。ですから、ディレクターばかりではなく現場のマネジャーも大変でしたね。当然、宣伝を担当していたわれわれともギクシャクしてきた部分もありました。楽曲の制作ばかりではなく衣装でも、それまでのアイドル的なミニスカドレスに疑問を投げかけ、この頃からでしょうか、衣装に合わせて振り付けも自分からアイデアを出すようになっていました。ま、ミニスカドレスからロングスカートに変わったというのも普通といえば普通だったのかもしれませんが…」。

 そう振り返るのは明菜が所属していたレコード会社、ワーナー・パイオニア(現ワーナーミュージック・ジャパン)で担当プロモーターだった田中良明(現在は「沢里裕二」として作家活動)だ。

 しかし、それが目に見えて変わったのが『飾りじゃないのよ涙は』からだった。

 「一気に変わった感じでした。肩パットの入ったバブル系のスーツ…。当時、はやりだったアーストンボラージュ系が多かったと思いますけどね。こういった明菜のセンスは当時、彼女のスタイリストだった東野邦子さんの影響も大きかったと思います。東野さんは明菜から信頼を得ていましたからね。『紅白』に初出場したときの衣装も担当しましたが、とにかく斬新なものを作り上げようとしていました。そういった意味では明菜と感覚的にも合っていたのだと思います」

 変化の要因は、何といっても『飾りじゃないのよ涙は』の斬新さにあった。

 シンガー・ソングライターの井上陽水が自ら明菜の作品として志願してプレゼンテーションした楽曲だった。陽水と親交が深く、明菜とも交流の深かった音楽プロデューサーが語る。

 「井上陽水というのは頼まれて作る人間じゃないですからね。その後のPUFFYなんかもそうでしたが、とにかくこだわりの強い性格ですから、まずは自分自身が興味を持たないとダメなんですよ。そんな中で明菜さんに関しては…。具体的なキッカケは分かりませんが彼女のボーカルに異常なほどの興味を持っていました。というより、ほれ込んでいたといったほうがいいですね。結局は陽水自身の気持ちが抑えられなくなったのだと思います。で、ワーナーで明菜さんを担当していた島田(雄三)さんに自ら連絡をとってプレゼンしたのです」

 陽水のバックバンドとしてスタートした安全地帯のボーカル、玉置浩二が『サザン・ウインド』を作曲(作詞は来生えつこ)したことも、あるいは気持ちを高揚させる要因になったのかもしれない。

 「陽水から見たら玉置は駆け出しでしたからね。俺だったら…という思いもあったのでしょう。プレゼンした作品は確かに明菜さんのために書き下ろした作品ですが、どこか自分が歌うために作っている部分もあるんですよ。これはボブ・ディランなんかもそうでしたけどね」

 陽水からの直のプレゼンに制作現場も興奮したことは言うまでもない。しかも作品のクオリティーも高く文句のつけようもなかった。

 「正直なところ願ってもない作品だったことは確かです」と田中は振り返る。

 『飾りじゃないのよ涙』は1984年11月14日に発売され、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)などで披露されるや大きな話題となり、11月26日付のオリコン・シングルチャートで初登場1位にランクされた。

 「インパクトのある作品と衣装が見事に融合して、アイドルからボーカリストへと一気に脱却したように思います。そういった意味でも明菜の新時代の始まりは『飾りじゃないのよ涙は』だったといえますね」(前出・音楽評論家) =敬称略

 (芸能ジャーナリスト・渡邉裕二)

 ■中森明菜(なかもり・あきな) 1965年7月13日生まれ、東京都出身。81年、日本テレビ系のオーディション番組『スター誕生!』で合格し、82年5月1日、シングル『スローモーション』でデビュー。『少女A』『禁区』『北ウイング』『飾りじゃないのよ涙は』『DESIRE-情熱-』などヒット曲多数。NHK紅白歌合戦には8回出場。85、86年には2年連続で日本レコード大賞を受賞している。

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