アフガン政権崩壊で“中国暗躍” タリバンに接近、自由主義諸国の「対中包囲網」に対抗か 識者「在日米軍も永遠ではない」 - イザ!

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アフガン政権崩壊で“中国暗躍” タリバンに接近、自由主義諸国の「対中包囲網」に対抗か 識者「在日米軍も永遠ではない」

中国の王毅外相(右)と、タリバン幹部のバラダル師=7月28日、中国天津市(新華社=共同)
中国の王毅外相(右)と、タリバン幹部のバラダル師=7月28日、中国天津市(新華社=共同)

 アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンは15日、首都カブールを制圧した。米国を後ろ盾としてきたガニ大統領は現金を抱えて国外に脱出したとされ、民主政権は瞬時に崩壊した。ジョー・バイデン米政権による米軍の撤退宣言に合わせるように、習近平国家主席率いる中国共産党政権はタリバンに接近していた。自由主義諸国による「対中包囲網」が構築されるなか、中央アジアから中東地域で影響力を強める狙いなのか。アフガンでの政権崩壊は、日本の安全保障戦略にも教訓となりそうだ。 

 「アフガン戦争は終結した」「すべての駐留外国軍の撤退を望む」

 タリバン側は16日、カブール制圧後、こう宣言した。国際社会との関係構築を目指すとも表明した。ロイター通信などが伝えた。

 一方、国外脱出したガニ大統領は15日、「タリバンは剣と銃によって勝利した」「彼らは国民の名誉や財産の保護に責任を負っている。新たな歴史的試練に直面している」とフェイスブックで発信した。ガニ氏を支えてきた女性のハミディ教育相代行は「裏切り」と批判した。

 カブールは、銃声とヘリコプターの旋回音、脱出する市民の車の渋滞で緊迫と混沌に包まれた。タリバン戦闘員が自動小銃を構えたり、持ち場を逃げ出す国軍兵士の姿も目撃された。

 国際空港は、国外脱出しようとする市民らで大混乱に陥った。現地の報道によると、空港内では何者かの銃撃で少なくとも5人が死亡。離陸する飛行機にしがみ付いた人が地面に落下し、複数人が死亡したもようだ。

 米国大使館では星条旗が降ろされ、職員らは15日に退避を完了した。日本政府も大使館員を国外退避させる。

 タリバンは1996~2001年に政権の座にあったが、イスラム法の極端な運用を続け、「女性の就学」や「就労の制限」「娯楽の禁止」などを徹底した。今回の攻勢で支配下に置いた地域では、独身女性が強制的にタリバン構成員と結婚させられる事例が報告されており、人権抑圧再来への懸念が広がっている。

 米国は01年の米中枢同時テロ後、アフガン駐留を始めた。過去20年間で2兆2600億ドル(約250兆円)もの戦費を投入し、2400人以上の米兵が犠牲となったが、タリバンの抵抗は続いた。バイデン政権は4月下旬から米軍撤収を始めたが、想定以上の速さでアフガン民主政権は崩壊した。

 米軍撤収に呼応するように中国は動いていた。

 中国の王毅外相兼国務委員は7月28日、バラダル師率いるタリバン代表団と天津で会談していた。中国とアフガンは国境を接しており、イスラム過激派が新疆ウイグル自治区に流入して反体制派と結びつくことを避け、巨大経済圏構想「一帯一路」の重要地域である中央アジアが不安定化することを危惧したとされる。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「中国としては、タリバン政権を早期に承認して、経済的支援をすることで、自由主義諸国に対抗するカードにする狙いがあるのではないか。ウイグル人を支援しないよう布石を打つ思惑もあるだろう」とみる。

 アフガンは、中国とパキスタン、イラン、中央アジア諸国と隣接し、地政学的に重要な場所に位置する。中国がタリバン政権を取り込めば、米国主導の「自由で開かれたインド太平洋」に対峙(たいじ)する、「一帯一路・陸路のシルクロード」を強化することにつながりそうだ。

 中東や中央アジアにおける「米国の後退」「中国の増長」は、日本のエネルギー戦略にも影響しかねない。資源エネルギー庁の「エネルギー白書」2021年版によると、中東への石油依存度は89・6%(19年度)を占めている。

 バイデン政権は現時点で「同盟国重視」を掲げているが、もはや「世界の警察官」を続ける余裕はない。19世紀のモンロー主義(孤立主義)に戻ることはないとしても、国益次第で米軍撤退を判断することは、今回のアフガンでも、かつてのフィリピンでも証明されている。

 今回の教訓は、同盟関係の維持・強化の重要性に加えて、「自分の国は自分で守る」という安全保障の基本中の基本ではないか。

 元陸上自衛隊東部方面総監で、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェローの渡部悦和氏は「アフガン民主政権は米国に依存し、『自国を自国で守り、戦う』という意志がなかった。日本にとっても、これは教訓になる。自衛隊は現在、戦闘機や装備品の多くを米国から輸入している。サイバー戦の時代、人工知能(AI)の軍事利用などで海外製に頼っていればリスクを伴う。やはり、自国での研究開発が必要だ。米国の国力が低下するなか、在日米軍がこのまま永遠に存在するとは考えるべきでない。中国の脅威は深刻だ。一刻も早く意識を転換しなければならない」と語った。

zakzak

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