【今から始めよう!70代まで働く健康術】異常がない部位にも原因不明の痛み 解明進む脳のメカニズム - イザ!

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今から始めよう!70代まで働く健康術

異常がない部位にも原因不明の痛み 解明進む脳のメカニズム

東京慈恵会医科大学先端医学推進拠点・痛み脳科学センターの加藤総夫センター長
東京慈恵会医科大学先端医学推進拠点・痛み脳科学センターの加藤総夫センター長

 先進国の約2割の人は、3カ月以上も痛みが続く、あるいは、痛みが反復する「慢性疼痛(とうつう)」に悩まされているという。画像診断や血液検査などで異常なしというケースも珍しくはない。その痛みに、脳のネットワーク異常が関係していることがある。

 「近年、痛みが脳を変え、脳が痛みを変えることがわかってきました。その結果、かつて原因不明といわれた慢性疼痛に対し、さまざまな仕組みが解明されつつあります」

 こう話すのは、東京慈恵会医科大学先端医学推進拠点・痛み脳科学センターの加藤総夫センター長(教授)=顔写真。脳と痛みのメカニズムについて数多くの基礎研究を行っている。そのひとつ、脳の右の扁桃体の中心核の活性化で、最初に感じた痛みの部位以外にも痛みに対し過敏になることを明らかにした。

 加藤センター長らの研究では、口の周辺に炎症が起こるラットモデルを作成し、そのラットが両足の裏の痛みに敏感になることをまず証明した。口の周辺が痛いはずなのに足の裏も痛む。当然、足には異常はない。ラットの脳では、右の扁桃体の中心核が活性化していた。その信号を遮断するような薬を投与すると、両足の痛みに対する敏感な反応が抑えられたのである。

 「原因不明で全身に痛みが生じる線維筋痛症という病気も、脳の痛みのネットワークが関与している可能性があります。脳のメカニズムの解明によって、新たな治療法の開発につなげたいと思っています」

 線維筋痛症は、全身のさまざまな部位に激痛が走り、重症の場合、日常生活もままならなくなる病気だ。かつては「心因性リウマチ」などと呼ばれていたが、リウマチとは原因が全く異なる。激痛そのものが全身に牙を向くのが、線維筋痛症という病気だ。米国シンガーソングライターのレディー・ガガさんも、2017年、線維筋痛症を告白して一時活動を休止した。

 「脳の痛みのネットワークは複雑です。線維筋痛症のような全身に痛みが生じる人もいれば、腰などの身体の一部に痛みが出る人もいます。現在、脳による痛みの診断法の研究が世界的に進められているところです」

 慢性的な原因不明の痛みは、かつては治療法がなく患者の我慢に頼るような面もあった。しかし、日常生活に支障が及び、国の経済損失も大きい。そこで、2010年、厚労省が「慢性の痛み対策」に力を注ぐようになった(別項)。医療機関でも「慢性疼痛」に対する認識が広まりつつある。

 「私たちは、基礎研究のメカニズムの解明で、患者さんの新たな治療へつながるようにしたいと思っています」

 慢性疼痛と診断されても、今のところ誰もが適切な治療を受けられるとは限らない。医学の進展でこの状況が変わることを期待したい。 (安達純子)

■厚労省の「慢性の痛み対策」

(1)診療レベルの向上、チーム医療の形成など医療体制の構築

(2)教育、普及、啓発

(3)最新の正確な情報発信、社会全体で痛みに向き合うような働きかけ、相談体制の構築

(4)現状を把握するなど調査、難治性の痛みの病態解明、診断方法開発など研究

zakzak

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