コロナ禍で懸念されるアルコール依存

産経ニュース

新型コロナウイルスの感染拡大による社会不安の増大で、アルコール依存への懸念が高まっている。急性アルコール中毒の搬送件数は大幅に減少しているものの、外出自粛などの影響で、アルコール依存を抱える人が経験などを共有する「断酒会」の開催も制約され、症状が悪化するケースも出ている。かつて東日本大震災の被災地では発生から数年後にアルコール問題の相談が増加したこともあり、今回のコロナ禍による社会不安の影響も、数年後の時差を経て生じる恐れもあるという。

急性中毒は減少

東京消防庁によると、昨年、急性アルコール中毒で搬送された件数は1万1291件で、令和元年に比べ約7千件減少した。今年もその傾向は続いており、1~3月(速報値)までで計1711件と例年の3分の1程度となっている。

件数減少の背景にあるのが、コロナ禍による飲み会の自粛だ。例年、搬送件数が増えるのは4月の大学新歓コンパや花見、12月の忘年会などの時期。だが昨年はこれらが軒並み中止になった。今年も緊急事態宣言や酒類の提供の自粛などで、その傾向が続いている。

ところが搬送件数が減少する一方で、さらに根深い問題としてコロナ禍の今、心配されているのがアルコール依存を抱える人の症状の悪化だ。

ストレスで飲酒再開の恐れ

外出自粛などで人と会う機会が減り、家にこもる時間が増加。加えて、アルコール依存の人が悩みや意見を共有する「断酒会」の休会も相次ぎ、飲酒の習慣を再開させてしまう人もいるという。

全日本断酒連盟(東京都千代田区)の大槻元・事務局長によると、昨年はコロナの流行が広がった影響で全国の断酒会はほとんどが中止となった。オンラインでの断酒会も開催しているが、「みんなで寄り添って回復の手助けをするというのが断酒会の役目。オンラインだとそれができない」と話す。

一方で、交通費や時間がかからないメリットもあり、「オンラインも活用しつつ、ルールを決めながらやっていきたい」とした。

依存症の治療を行う国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)は昨年6~7月、全日本断酒連盟と協力して全国の断酒会員に飲酒状況についてアンケートを行い、2981人から回答を得た。それによると、期間中に再飲酒をした人は6・4%。特に女性は10・5%に上った。

飲酒の理由を見ると、男性では「ストレス」が多く、女性は「孤独、ストレス」が多かった。「断酒を続けている」と回答した人のうち12%が「断酒を続けるのが難しいと感じることがあった」と回答。特に、「ストレスを感じたとき」に難しいと感じるとの答えが目立った。

また6割以上の人がコロナ禍以降、断酒会の活動に参加しなかったか、参加頻度が減ったと答えた。

生活リズム変えず

久里浜医療センターの松下幸生副院長は、「不安の強い人や衝動性が高い人はアルコールに限らず、依存傾向になりやすいとされる。コロナ禍の不安や社会からの孤立など、心理的負担から飲酒量が増える層がいる。少し時間がたってから影響が出る可能性はある」と指摘する。

東日本大震災後、甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島では、アルコールに関する相談が増加。大きな災害後、不安を感じる人が増えると、地域の飲酒量は全体的に増加するという海外の研究結果もある。

コロナ禍と飲酒の因果関係はまだ分かっていないが、今後、深刻な影響をもたらす可能性は否定できない。

松下氏は「在宅でも生活リズムを変えず、人とのコミュニケーションをとり、心身の健康の維持を意識することが大事。飲みすぎていると感じているなら外来もやっているので相談に来てほしい」としている。(大渡美咲、王美慧)

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