和歌山県で今秋開催の「紀の国わかやま文化祭2021」(第36回国民文化祭)で上映される映画「紀州騎士~きしゅうでないとぉ!~」の撮影が、主舞台となる同県湯浅町の老舗醬油会社「角長」などで行われている。醬油会社の娘が新聞記者となり、人との交流の中で成長する様子を描いた作品。角長の加納誠代表(72)は「紀州の伝統産業や自然の美しさを再認識してもらう映画になれば」と期待を寄せている。
同県すさみ町出身の女優、七海薫子(かおるこ)さん(39)が、交流のある映画監督、中野広之さんに作品のアイデアを出し、中野さんらが製作委員会を結成した。
舞台となる「角長」は、醬油発祥の地・湯浅町で江戸時代の天保12(1841)年創業の醬油会社。
主人公を務める七海さんは「角長の娘」の役柄で、人とうまく話せず不登校の経験も持つが、新聞記者となり、多くの人と交流を深めることで、周囲を元気づけ自身も成長していく-というストーリーだ。
角長では今月6日に撮影を開始。店内の帳場で、アルバイトの面接に来た女性と社長の間で口論となり、七海さんも加勢。職人頭の役で特別出演した俳優の原田龍二さんが仲裁するという、熱気あふれる場面を演じた。
ほかにも撮影は、雑賀崎灯台(和歌山市)や口熊野の古道(上富田町)、熊野那智大社(那智勝浦町)、橋杭岩(串本町)など県内各地で予定している。
主役の七海さんは「紀州の人の温かさが伝わり、見る人を元気づける作品にしたい」と意気込む。
角長の加納代表は「作品の主舞台に選ばれて光栄。映画の公開で、コロナ収束後に地元に客足が戻るきっかけになれば」と話している。
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文化祭は10月30日~11月21日に開催される。映画は10月30日午後2時から串本町の田並劇場で初上映されて以降、各地で上映を予定している。