【するりベント酒】目当ての店が閉店、アルコールの提供も終了 失意のどん底…宇都宮でコンビニ焼きそば(2/2ページ) - イザ!

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するりベント酒

目当ての店が閉店、アルコールの提供も終了 失意のどん底…宇都宮でコンビニ焼きそば

 閉まりかけたラーメン屋を見つけ「イイですか?」と言ったら老夫婦が「どうぞ」と言ってくれたので、入って席についた。ホッとして「ビールとぉ」と言ったら「申し訳ない、アルコールは7時で終わり。どこに行ってもそうですよ」と言われた。ガガーン、ガーン、ショボーン。

 座ったばかりの腰を上げて、店を出た。もうダメだ。あとちょっと店を探したが、全部閉まるところ。失意のどん底で、宿の近くのセブン-イレブンに入った。

 もう焼きそばしかない。セブンのソース焼きそばをあっためてもらい、缶ビールと冷えた日本酒を買って、部屋に戻る。

 もうイイ。これで今日はヤケ酒だ。

 コンビニの焼きそばを自分で買って、その場であっためてもらって、一人ですぐ食べる、というのは初めてかもしれない。

 黙って、冷静に食べたそれは、麺が焼きそばというより、蒸しそばというか、モソモソっとしていた。こういう焼きそばを遠い昔食べた気がする。

 そうだ、80年代初頭、コンビニができる前に、実家の近所にできた自販機の焼きそばだ。箱のまま温められた焼きそばが、ゴトゴトンと出てきた。酒を飲んだあと、腹が減って夜中に食べた。友達と「焼いて、ねえじゃん!」と笑いながら、フガフガ夢中で食べた。何度か、食べた。夜中はそれしか、なかったのだ。

 その焼きそばを突然思い出した。いや、味は無論セブンの方が格段にオイシイ。でも思い出したんだからしかたがない。同じような心境で食べたからかもしれない。

 テレビを見ながら、ビールを飲みつつ食べているうちに、がっかりした気持ちも晴れてきた。焼きそばは、そんなにすごくオイシイというものでなくてもイイのだ。

 そうだ、自分の「オイシイ」はこういう味から始まっている。そして、きっとこんな味に終わるのだ。上等。巷のグルメなんて、どうでもいい。俺はビールと焼きそばを平らげて、ビールのコップを洗い、そこに冷酒を注いで、くいっと一口飲んだ。それはもはやヤケ酒の味ではなかった。

 ■久住昌之(くすみ・まさゆき) 1958年7月15日、東京都生まれ。法政大学社会学部卒。81年、泉晴紀との“泉昌之“名でマンガ家デビュー。実弟の久住卓也とのユニット“Q.B.B.”の99年「中学生日記」で第45回文藝春秋漫画賞受賞。原作を手がけた「孤独のグルメ」(画・谷口ジロー)は松重豊主演で今年シーズン9(テレビ東京)。

zakzak


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