韓国、対外資産差し押さえで〝二重基準〟適用 「徴用工」と朝鮮戦争問題

産経ニュース
ソウル中央地裁の入る庁舎(共同)
ソウル中央地裁の入る庁舎(共同)

朝鮮戦争(1950~53年)での戦争犯罪に関し、韓国国内の北朝鮮資産を差し押さえ、韓国人被害者への賠償に充てるための司法手続きが進んでいる。韓国国内にある外国資産の差し押さえを求めるという意味では日本に対するいわゆる徴用工訴訟と似た構図だ。一方で、韓国政府は北朝鮮資産に関しては「国益」を理由に裁判所手続きへの協力を拒んでおり、「司法尊重」を名目に外交解決に動かない徴用工問題と異なる〝二重基準〟を露呈している。

問題となっている韓国国内の北朝鮮資産は、韓国のテレビ局などが使用した朝鮮中央テレビの映像の著作権料など。2004年に設立された財団が代理で徴収していたが、経済制裁に伴い09年以降、北朝鮮に送金できなくなった。韓国メディアによると、約23億ウォン(約2億1900万円)が保管されているという。

ソウル中央地裁は昨年7月、朝鮮戦争で北朝鮮の捕虜となり、休戦後も強制労働させられたとする韓国人男性2人の請求を認め、北朝鮮と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記に対し1人当たり2100万ウォンを賠償するよう命じた。北朝鮮側は訴訟参加や賠償に一切応じず、男性らは同12月、この著作権料などから賠償金を支払うよう財団側に求める訴訟を新たに起こした。

財団側は「著作権料は朝鮮中央テレビなどに所有権があり、北朝鮮政府の資産ではない」として支払いに応じない姿勢を示た。裁判所は送金を受領するのが誰なのかを調査するため、送金ルートについて韓国統一省に照会を求めた。

しかし、同省は今年7月、「国家の重大な利益を著しく害する恐れ」がある情報を非公開とする規定を根拠に、要請を拒否した。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮との南北対話の促進を模索している。

北朝鮮への賠償請求をめぐっては、消息不明となっている韓国人の拉致被害者家族らが起こした別の訴訟でも今年3月、同地裁が請求を認め、北朝鮮と正恩氏に5000万ウォンの賠償を命じた。このほかにも北朝鮮を相手取った複数の損害賠償請求訴訟が進行中で、資産差し押さえに向けた動きがさらに広がれば、南北対話の行方にも影響を与える可能性がある。

(ソウル 時吉達也)

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