【脳神経外科が明かす「脳の病気とケガ」最新事情】頭を打ったらどうすればいいのか 医学的な答えは「たとえ症状が無くても医療機関を受診する」 - イザ!

メインコンテンツ

脳神経外科が明かす「脳の病気とケガ」最新事情

頭を打ったらどうすればいいのか 医学的な答えは「たとえ症状が無くても医療機関を受診する」

転倒はとくに頭に注意したい
転倒はとくに頭に注意したい

 外傷事故に遭った際、他のどこよりも不安になるのが「頭」だろう。家庭内であっても頭をぶつけた時、「痛みがないから大丈夫」と放置するのは危険だ。特に高齢者の頭部外傷は、症状の大小に関係なく病気が進行していることがある。国際医療福祉大学成田病院の脳神経外科医による集中連載の第4回は、末廣栄一医師に「頭を打ったらどうすればいいのか?」を聞く。

 東京消防庁の救急搬送実績(2018年)によると、事故で救急搬送された人の年齢は、80代が首位、2位が70代、3位が60代。一方、「頭部外傷」の全国統計を年齢別に見ていくと、以前は20代と60代の2回のピークがありましたが、近年は20代の頭部外傷は大きく減って、60代以降の高齢者で占められるように変化しています。

 若年層の頭部外傷が減った背景には道路交通法が厳しくなり交通事故が減ったことが関係しています。ではなぜ高齢者は減らないのでしょう。

 それは、高齢者の頭部外傷事故の8~9割が「転倒」によるもので、その66%が「住居」で起きているからです。同じ頭部外傷でも、若者に比べて高齢者は重症化のリスクが高まります。その理由はこうです。

 年齢とともに脳は萎縮し、頭蓋骨との間に隙間(硬膜下腔)ができていきます。スペースに余裕ができると脳が揺れやすくなり、この状況で強い外傷を受けると、細い静脈が切れやすくなるのです。切れた静脈から漏れ出た血液が溜まって「急性硬膜下血腫」ができ、これが大きくなると重症(昏睡)に至ります。

 特に高齢者の場合、血種ができても症状が出にくいことが多く、血種が大きくなっていることにも気付きにくい、という特徴があります。見た目は普通に過ごしているので安心していると、数時間後に突然、意識を失って、最悪の場合はそのまま命を落とすことにもなりかねないのです。

 もう一つ、高齢者の頭部外傷が重症化しやすい理由があります。それは抗血栓薬、つまり「血液をサラサラにする薬」を飲んでいる人が多い、という点です。

 動脈硬化などの基礎疾患があって抗血栓薬を服用している高齢者は少なくありません。しかしこの薬は、血栓予防作用がある半面、頭を強く打った時に、脳内での出血のリスクを高める方向に働いてしまうのです。

 実際、頭部外傷を負った人が悪化して昏睡に至るリスクは、「抗血栓薬を飲んでいない人」に対して「飲んでいる人」は2倍以上に跳ね上がる、という調査結果もあります。薬には必ず、リスクとベネフィットがあることを認識しておくことが重要です。

 では、実際に頭を打ったら、どう対応すればいいのでしょう。医学的な答えは、「たとえ症状が無くても医療機関を受診する」。症状が出てからでは遅いのです。特に別項のような頭部外傷の場合は、躊躇せずに医療機関を受診して、必要な検査を受けてください。

 そして、もし抗血栓薬を飲んでいる場合は、忘れずにそのことを医師に伝えてください。「おくすり手帳」や、薬の現物を持参するのが最も安全です。もし抗血栓薬を飲んでいることがわかれば、その作用を抑える中和剤を使うことで、硬膜下血腫の重症化を防ぐこともできます。

 頭部外傷は「見た目の元気度」で判断できません。勝手に安心するのが一番危険だということを、ぜひ覚えておいてください。 (構成・長田昭二)

 ■末廣栄一(すえひろ・えいいち) 国際医療福祉大学医学部教授。山口大学医学部卒業。同大医学部附属病院先進救急医療センター診療准教授を経て現職。医学博士。

 ■頭を打った! こんな時はすぐ医療機関へ

 □頭を打った瞬間やその前後の記憶がない

 □頻回に嘔吐する

 □頭痛が続く

 □てんかんの発作が出る

 □3階以上(高さ6メートル以上)から落ちた

zakzak

  1. みずほは「F」「D」「I」に3分裂か OBに根強い旧行意識
  2. 野田氏「夫を信じている」 週刊誌報めぐり
  3. 市から突然1300万円請求…なぜ? 年金生活の80代女性に 専門家「今後数年で同様の高額請求を受ける人は増える」
  4. 高市氏の記者会見場で報道関係者怒鳴り声
  5. 河野氏の年金改革案めぐりバトル勃発 「大増税」の可能性も…野田氏「保険料を払っている人があなたの発言で非常に不安になる」