発売前に目標の5倍も! パナの電動工具が売れに売れている理由 - イザ!

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発売前に目標の5倍も! パナの電動工具が売れに売れている理由

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パナソニック ライフソリューションズ社は電動工具の新ブランド「EXENA(エグゼナ)」を立ち上げた
パナソニック ライフソリューションズ社は電動工具の新ブランド「EXENA(エグゼナ)」を立ち上げた

かゆーいところに手が届く「電動工具」が登場し、売れに売れていることをご存じだろうか。6月末、パナソニック ライフソリューションズ社は電動工具のフラッグシップモデル「Pシリーズ」の発売を発表したところ、「オレもオレも」「ウチもウチも」といった感じで、注文が殺到しているのだ。

では、どのくらい売れているのだろうか。同社のリリースを見ると、販売目標は年に7万台。この数字がどのくらいのものなのかよく分からなかったので、広報に問い合わせたところ「目標の数字は現行品の4倍ほどですね。8月1日に発売しましたが、先行予約だけで5倍ほどの注文が入りました」とのこと。

年間目標の台数は「現行品の4倍」という数字を聞いただけで、「そ、それはちょっとムリゲーなのでは?」と思ったが、発売前にもかかわらず「5倍」も売れているということは、いかに消費者のハートをワシづかみしていることがうかがえる。発売前に「ヒット当確」となったこの商品は、どのような特徴があるのだろうか。

売れているアイテムは、新ブランド「EXENA(エグゼナ)」のPシリーズである。インパクトドライバー「EZ1PD1」(2万9480円~)を8月に発売し、第二弾のドリルドライバー「EZ1DD1」(4万370円~)は9月に発売する予定だ。

特に売れているのがインパクトドライバーで、その特徴は2つある。1つはヘッドサイズが業界最短の98ミリであること。もう1つは業界初の8方向に取り付けることができるアタッチメントシステムを搭載したことである。このように書いても、建設現場で働いたことがない人やDIYに興味がない人からは「うーん、意味がわからん」といったつぶやきが聞こえてきそうなので、できるだけ分かりやすく紹介しよう。

小さな商品を開発

インパクトドライバーの特徴は、パワーがあること。回転と打撃の機能を兼ね備えた電動ドライバーのことで、穴があいているところにネジを締めるだけでなく、穴がないところへのビス留めなどもできるのだ。

パナソニック ライフソリューションズ社が開発したインパクトドライバーのヘッドサイズは「業界最短」というが、開発する際にどのような苦労があったのだろうか。同社でエグゼナブランドの開発に携わった石神理希さんに聞いたところ、「小さくするにはモーターなども小さくしなければいけません。ヘッドを小さくすれば、そのぶん空間が狭くなってしまうので、どうしても熱がこもってしまうんですよね。結果、不具合が生じてはいけませんので、ヘッドの中を風が流れるような設計にしました」

ということで、98ミリにするために、従来品と比べて内部のハンマー(回転時に駆動軸に打撃を与える)を50%小型化して、駆動軸を20ミリ短くし、モーターを30%小さくしたそうだ。ただ、部品を小さくして、そのぶんパワーが落ちてしまえば、使い勝手が悪くなるので「モーターを小さくしても、パワーを落とさないように開発することが難しかったですね」と石神さんは振り返る。

ふむふむ。「小さくしても、パワーを落とさない」というコンセプトはよーく分かったが、そもそも小さくする必要はあるのだろうか。「職人さんからは常に『小さくしてほしい』『小さければ小さいほどいい』といった声があるんですよね。大きければ『運ぶのが大変』『重い』といったこともありますが、狭いスペースでの作業が増えているそうなので、『小さなモノをほしい』と思っている人も増えているのではないでしょうか」(石神さん)

こうしたニーズがあって、「ヘッドサイズ98ミリ」の商品を投入したわけだが、これからも研究を続けて、さらに小さな電動工具の開発に取り組んでいくそうである。

かゆーいところを見つける

次に、もう1つの特徴である「アタッチメントシステム」について説明しよう。インパクトドライバーの使い方として、先端の真ん中に専用のビットを差し込んで、ネジなどをキュルキュルキュルと締めていくわけだが、ここで問題が発生することがある。通常作業であれば大丈夫だが、天井に近いところや壁のきわはどうか。ネジを締めようと思っても、本体が邪魔をしてうまく作業ができないことがあるのだ。

強引に作業をすると、壁などをキズつけることになるかもしれないので、そうした狭いところは手作業である。「ドライバーを取り出して、あ、ネジも忘れずに」とモタモタしていると、作業効率がどうしても落ちてしまう。ヘッドサイズを短くしたように、職人さんから「パナさん、ちょっとつくってよ」といった声があったのかと思っていたら、同社の企画チームが「電動工具が届かないところに届くようなモノをつくれば、現場の人たちが喜ばれるのではないか」と考え、商品開発に至ったそうだ。

結果、8方向の角度に取り付けられるアタッチメントシステムを搭載することに。これまで電動工具が使えなかったところでも、ネジを締めることができるようになったのだ。

ヘッドを短くすることで、持ち運びが軽くなっただけでなく、狭いところでも作業することができるようになった。また従来の電動工具では、作業することができなかった隙間などでも使うことができるようになった。冒頭でも紹介したように、2つの「かゆーいところに手が届くようになって」売れに売れているのだ。1つは、かゆーいところをかいてあげて、もう1つは、かゆーいとこを見つけてあげて。

ただ、それにしても売れ過ぎではないだろうか。発売前にもかかわらず、従来品の5倍も売れているのである。電動工具を買い替えるタイミングは「使っているモノが古くなったから」とか、「壊れてしまったから」といった理由が多いのではないだろうか。と思っていたわけだが、消費者の行動はちょっと違っていたようである。

「使えなくなったから買う」のではなく、「性能がよくなったから」「効率よく作業ができるから」といった理由で購入する人も多いのだ。例えば、ガジェット好きで、新商品が登場するたびに購入する人がいるが、職人とガジェット好きの消費行動はどこか似ているところがある。電動工具といえばB2Bの商材であるが、気になるモノが出れば、「すぐに購入する」「発売前に予約する」といった人たちが一定数いるようだ。

かゆーいところに光を

話は変わるが、同社が電動工具の市場に参入したのは、1979年のことである(当時の社名は松下電工)。40年以上にわたって、建設現場で働く人たちに工具を提供してきたものの、ブランド名がなかったので、現場では「パナのアレを取ってきて」とか、年配の人たちからは「松下のソレを忘れるなよ」といった会話が飛び交っているのだ。

パナソニックには、さまざまなブランドがある。例えば、テレビであれば「ビエラ」、デジタルカメラであれば「ルミックス」のように。しかし、電動工具にはブランド名がなかったので、今回の新商品発売に合わせて、社内から「ブランドを立ち上げてはどうか」といった声が出て、「エグゼナ」というネーミングに決まったそうだ。

新しいブランドから、今後も次々に新商品が登場する。予定されているアイテムの中で、筆者が気になっているのは、最大照度が600ルーメンもあるマルチライト(EZ1L31、1万4300円から)である。このマルチライトは、光源を垂直に180度回転させることができ、水平に270度回転することできるので、対象物に照明を当てやすくなっているのだ。

かゆーいところに手が届くだけでなく、かゆーいところにも光を当てようとしている――。現時点で、マルチライトに「ヒット当確」を出すことはできないが、今後の見通しは“暗く”なさそうだ。

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