彩時記

打ち水 暑さしのぐ知恵 ~葉月 8月~

産経ニュース
風呂桶を使って打ち水を体験する小学生たち。ひとしきり楽しんだ後は、涼しい風が吹き抜けた=7月下旬、東京都墨田区(酒巻俊介撮影)
風呂桶を使って打ち水を体験する小学生たち。ひとしきり楽しんだ後は、涼しい風が吹き抜けた=7月下旬、東京都墨田区(酒巻俊介撮影)

1年のうちで、暑さが最高潮に達する8月。あす7日は秋の始まりを告げる立秋だが、まだまだ夏の日差しは衰えそうにない。

うちわにすだれ、風鈴…。電気のない時代に生まれた暑さをしのぐ知恵は、今の暮らしにも生かされている。「打ち水」もそのひとつだ。

打ち水は「気化熱」の効果を利用して涼を取る。気化熱は水が気体になるとき、周囲から吸収する熱のこと。その熱は地面から奪われるため、周辺の温度が下がる。水でぬれた地面は表面の温度が上がりにくく、その上を通る風も涼しくなる。

打ち水は江戸時代の俳句に詠まれたり、浮世絵に描かれたりと、昔から情緒ある夏の風物詩だった。

「当時は神田上水、玉川上水を開削し、管理して江戸の町で使う水を確保していたので、打ち水には雨水などの再利用水を使っていたのでは」

雨水を生かしたまちづくりを進めるNPO法人「雨水市民の会」理事、笹川みちるさんはこう話す。

限られた資源とエネルギーをうまく活用する-。江戸庶民が営んでいた無駄のないエコな暮らしに、夏の打ち水の習慣があった。それを手本にした打ち水の方法を笹川さんに教わろう。

水道水ではなく、雨水や風呂の残り湯などの二次利用水を使う。道具は家にあるバケツやじょうろ、ペットボトルなどを利用する。行うのは朝や夕方。日中の暑さが厳しい時間帯は、熱のたまったアスファルトやコンクリートに水をまいてもすぐに乾いて空気中の水蒸気が多くなり、かえって蒸し暑く感じる。

「なるべく広い面積にまくのが効果的。ご近所と協力してタイミングを合わせるのもおすすめです」

世界のアスリートが熱い戦いを繰り広げている東京。その下町にある「鳩の街通り商店街」(墨田区)では、昔ながらの打ち水に興じる地域の子供たちの姿があった。

使うのはためた雨水。それを風呂桶(おけ)や柄杓(ひしゃく)にくんで、勢いよく通りにまいていった。

慣れない所作に、桶ごと放り投げる子がいれば、スカートの裾をびしょびしょにしてしまう子も。浮世絵や俳句にとどめた風情とはちょっと違ったとしても、夕立後のような心地よい涼風を感じられるのは、今も昔も変わらない。

(榊聡美)

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