【定年後の居場所】リモートで伝える難しさ痛感 NHKテレビで「70歳就業」を語る - イザ!

メインコンテンツ

定年後の居場所

リモートで伝える難しさ痛感 NHKテレビで「70歳就業」を語る

 この7月6日にNHKテレビの「視点・論点(してん・ろんてん)」で話す機会をいただいた。カメラの前で10分間1人で語るというスタイルの番組である。

 この番組は2回目になる。前回は渋谷のスタジオに赴いたが、今回は新型コロナウイルスの感染対策のため大学の研究室での収録になった。

 テーマは、「“70歳就業”社会をどう生きるか」。この2021年4月から「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、企業側に70歳までの安定した働く場を確保するよう努力義務を課した。このように国や企業は70歳まで働く条件整備を進めているが、それらに応じて個人側がどのように対応すればよいかを中心に話した。

 まずは、誰もが第2の人生を持つようになったことから始めて、特に65歳以降に現役の立場を一旦退いた後は、自分なりの居場所を持つことの大切さを強調した。

 この番組は出演者の語りのみで構成されるが、私の顔だけが10分間ずっと画面に映っているのは視聴者にとっても辛いだろう。適宜、図表や映像も使用することができるのでどうしようかと考えた。

 そこで今回は私自身が興味、関心を持っているヒット曲や映画の内容を紹介することにした。井上陽水の「人生が二度あれば」(1972年発売)の歌詞と現在の平均余命とのギャップを通して、もはや誰もが第2の人生を持つ時代になったことを示した。また以前にこのコラムでも取り上げた映画「マイ・インターン」のポスターを提示した。ロバート・デ・ニーロ演じる70歳の新人・ベンが、若き女性経営者を支える物語である。映画の内容から70歳になっても周囲の人から信頼を得るヒントを述べてみた。

 収録を終えた時に感じたのは、画面に1人で語りかける難しさである。相手は全く見えず部屋には私1人しかいない。最近はリモートで発信することは少なくない。大学の授業でもZoomを使って学生とやりとりする機会はある。ここでは会話をしながらチャットやサイトの掲示板を使って意見交換をすることができる。

 またリモートの講演で一方的に話しかける際にも主催者の人に聞き手側に回ってもらって表情を見ながら語ることもある。講演の途中で事務局の人に質問を投げかけてその回答を受けながら話を進めたこともあった。

 相手の反応を確認しながら対応する私のようなタイプでは受け手がいないと落ち着かない。伝えたい想いが空回りする感じが残る。やはりひとり語りは簡単ではない。

 また放送された画面を見ていて私の視線が少し動くのが気になった。話す内容はアドリブではなく画面に映っている原稿を目で追っているからだ。テレビの女性アナウンサーの視線を確認すると全く動いていない。ここでも自分の足りない点を思い知らされた。今回の発信一つとっても学ぶべき点はまだまだ多い。コロナ禍はこれからも続くことを考えると、自分の考えをリモートで伝える力量をもっともっと高めていかなければならないと痛感した。

 ■楠木新(くすのき・あらた) 1979年、京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。50歳から勤務と並行して取材、執筆に取り組む。2015年3月、定年退職。現在、神戸松蔭女子学院大学教授。人事・キャリアコンサルタント。25万部を超えるベストセラーになった『定年後』(中公新書)など著書多数。21年5月に『定年後の居場所』(朝日新書)を出版。

zakzak

  1. みずほは「F」「D」「I」に3分裂か OBに根強い旧行意識
  2. 高市氏の記者会見場で報道関係者怒鳴り声
  3. 市から突然1300万円請求…なぜ? 年金生活の80代女性に 専門家「今後数年で同様の高額請求を受ける人は増える」
  4. 内田理央のおっぱい写真にファン大興奮「一瞬ビビった」「萌え死んだ」