80年代ペルーの闇、組織的「乳児売買」を浮き彫りにした衝撃作 31日公開「名もなき歌」 - イザ!

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80年代ペルーの闇、組織的「乳児売買」を浮き彫りにした衝撃作 31日公開「名もなき歌」

 現代社会の闇とひと口に言うけれど、どの国にも問題はある。特に貧困にあえぐ国や独裁国家には民主主義のルールに守られた日本人には想像もできない闇が潜んでいる。31日公開のペルー映画『名もなき歌』(メリーナ・レオン監督)は実話だけに衝撃もひときわ。麻薬や人身売買が横行する情勢不安なペルーの問題を浮き彫りにしたとカンヌ国際映画祭で話題騒然となった。

 舞台は1988年のペルー。連日のようにテロ活動で爆破や暗殺が起き、断水と停電が人々を苦しめている。先住民族の女性、ヘオルヒナは貧しい生活を送るが、彼女は妊娠していた。

 ある日、首都リマの財団が運営する診療所が無償で妊婦に医療を提供するというラジオ放送を聞く。彼女はそこで出産するが、赤ん坊は他の部屋に連れていかれたまま、会わせてもらえない…。

 ラジオ局の記者、ペドロはヘオルヒナから相談を受けて取材を進めるうち、他の町で同じ目にあったという女性を見つけ出し、これが組織的な犯行だと確信をもつ。

 監督のメリーナ・レオンはこの作品が長編デビュー作だが、父はペルー最大の新聞社「ラ・レプブリカ」の記者で子供の人身売買の事件を追っていたという。

 80年代のペルーは当時のアラン・ガルシア大統領が、後に汚職事件で逮捕される直前に自殺したほど、政治が腐敗していた。深刻な人種差別、不平等でひよわな民主主義は機能していなかった。

 政府高官や判事までもが海外の違法な養子縁組(乳児売買)組織と手を組み、金もうけに走っていたのだから闇の根は深い。レオン監督の父、イスマエルがこの事実を「ラ・レプブリカ」ですっぱ抜いたのだ。

 映画初主演のヘオルヒナ役のパメラ・メンドーサはオーディション当時、学生だったが、祖父母から昔の話を聞いて演じたという。それにしても恐ろしい話だ。(望月苑巳)

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