【スポーツ医学から見た東京五輪】新型コロナ以上に注目されるドーピング問題 スポーツ選手と検査・摘発する側の攻防が激化 - イザ!

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スポーツ医学から見た東京五輪

新型コロナ以上に注目されるドーピング問題 スポーツ選手と検査・摘発する側の攻防が激化

ソウル五輪の100メートル決勝に勝ったベン・ジョンソン(カナダ)は、ドーピング検査で失格となった
ソウル五輪の100メートル決勝に勝ったベン・ジョンソン(カナダ)は、ドーピング検査で失格となった

 コロナ禍で行われる異様な東京五輪に、さらに追い打ちをかけるのがドーピング問題です。すでに、ロシアはソチ冬季五輪で発覚したドーピングで、2022年まで主要な国際大会から締め出されています。そのため、潔白が証明された選手だけが、ロシア・オリンピック委員会(ROC)の旗の下に、出場します。その数335人。国歌は使用できないので、表彰台ではチャイコフスキーの楽曲が流れます。

 中国のスーパースター、水泳の孫楊も出られません。スポーツ仲裁裁判所(CAS)が4年3カ月の資格停止処分を下したからです。彼は2024年5月まで国際大会から締め出されます。

 今回の東京五輪は、医学面から見たら、新型コロナにどう対処するかが最大の課題ですが、もしコロナ禍がなかったら、ドーピングがもっとも注目されたでしょう。年々、ドーピングは進化し、する側と検査・摘発する側の攻防が激化しています。

 そのため、世界反ドーピング機関(WADA)は、今回の東京から、新しい検査方法として「乾燥血液スポット検査」(DBS)を試験導入することになっています。

 DBSは、指先から少量の血液サンプルを採取し、専用の台紙に染み込ませて反応を見る検査です。従来の尿検査に比べて手間がかからず、精度も十分とされています。WADAはDBS導入で、「反ドーピングのゲームチェンジャーになる」と、宣言しています。組織委内でもDBSの研修が行われ、準備は整っています。ドーピング検査の現場では専門医や薬剤師が活躍します。

 ドーピングは医学の発達で誕生しましたが、いまや医学の領域を超えています。クスリ(薬物)は病気を治すために服用しますが、ドーピングは強健な体をつくるために服用します。これらの行為を「エンハンスメント」と呼びます。その先には、五輪でのメダルとマネーがあるわけです。

 いまやエンハンスメントは肉体の増強だけに限らず、薬物によって注意力や記憶力を向上させたり、落ち込んだ気分を改善させたりすることも可能で、これを「脳ドーピング」と呼んでいます。

 また、ステロイドや興奮剤のような薬物ではなく、たとえば自分の血液を保存しておいて赤血球を自分に輸血する「血液ドーピング」もあります。さらに、遺伝子工学の発達で、薬ではなく運動機能をつかさどる遺伝子そのものを注入する「遺伝子ドーピング」も技術的に可能になりました。

 五輪がプロに開放され、商業五輪、金権五輪なったから、ドーピングが激化したという見方があります。しかし、メダルやマネーが絡まなくとも、人間には、より強くなりたい、より早く走りたいという純粋な欲望があります。

 そもそも、興奮剤などは、19世紀には使われていたのです。とはいえ、反ドーピング対策が組織的に世界規模で行われるようになったのは1999年にWADAが設立された後からです。

 スポーツはフェアプレーで成り立っています。ドーピングはスポーツの公平性、公正性を歪める行為です。しかし、なにを持って公平性とするのかというのは難しい問題です。薬物ひとつに関しても、どの薬物を禁止にするのかを決めなければなりません。それを知らず意図しない「うっかりドーピング」も多いのです。

 ドーピング検査は、抜き打ち的に検体を採集することで行われてきました。人口に対する検体数でいうと、日本は世界でも少ないほうです。東京五輪ではどのような検査が行われるか、世界中が注目しています。

 ■富家孝(ふけ・たかし) 医師、ジャーナリスト。1972年東京慈恵会医科大学卒業。病院経営、日本女子体育大学助教授、新日本プロレスリングドクターなど経験。「不要なクスリ 無用な手術」(講談社)ほか著書計67冊。

zakzak

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