新たなブレイク発信地「BLドラマ」、“出身俳優”が夏ドラマを席巻中 - イザ!

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新たなブレイク発信地「BLドラマ」、“出身俳優”が夏ドラマを席巻中

ポストセブン
『ポルノグラファー』に出ていた竹財輝之助は『ナイト・ドクター』に出演中
『ポルノグラファー』に出ていた竹財輝之助は『ナイト・ドクター』に出演中

若手や中堅俳優がブレイクするきっかけとして今、「BLドラマ」が注目を集めている。この夏ドラマでは、BLドラマに出演した俳優たちの躍進が目立っているのだ。その背景とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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今、若手や中堅俳優たちの間で「ブレイクの発信地」「オファーが来たら絶対に受けるべき」と言われているのがBLドラマ。BLは「ボーイズラブ」の略で、男性同士の恋愛がテーマのコンテンツを指す言葉であり、当初は一部のファンに向けたものでしたが、2010年代後半あたりから地上波のドラマにも採用されるようになりました。

主な作品を挙げていくと、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)、『きのう何食べた』(テレビ東京系)、『ポルノグラファー』(FOD、フジテレビ系)、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)は、いずれも深夜帯ながら熱狂的な支持を獲得。さらに、前3作は映画化され、後1作は今年の「ギャラクシー賞 マイベストTV賞 グランプリ」を受賞して話題を集めたばかりです。

そして驚かされるのは、これらのBLドラマ出身俳優が夏ドラマで躍進を果たしていること。『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』主演の赤楚衛二さんは、『彼女はキレイだった』に出演し、相手役の町田啓太さんも6月27日放送の単発ドラマ『嘘から始まる恋』(日本テレビ系)に準主役で出演しました。

また、『ポルノグラファー』の竹財輝之助さんは『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)、猪塚健太さんは『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)に出演中。“月9”と“日曜劇場”という両局を代表するドラマ枠にレギュラー出演しています。

次に『きのう何食べた』の西島秀俊さんは、『シェフは名探偵』(テレビ東京系)で主演。また、西島さんと内野聖陽さんは朝ドラ『おかえりモネ』(NHK)にも出演しています。

『おっさんずラブ』で一躍主演級に躍り出た田中圭さんも、今夏は『ナイト・ドクター』に出演中。同じく『ナイト・ドクター』に出演中の北村匠海さんへの演技評価が高まったのは、『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)で「同性カップルを演じたころから」という声もあります。

さらに夏ドラマではありませんが、『おっさんずラブ』に出演した林遣都さんが主演を務めた昨年放送の単発ドラマ『世界は3で出来ている』(フジテレビ系)が今年6月、「ギャラクシー賞 テレビ部門大賞」を受賞しました。

なぜBLドラマ出身俳優の躍進が続いているのでしょうか。

◆温かく見守り続けるファン女性たち

BLが一部のファン女性向けから、女性全般が楽しむコンテンツに広がるきっかけとなったのは『おっさんずラブ』。春田創一(田中圭)を想う牧凌太(林遣都)と黒沢武蔵(吉田鋼太郎)の一途な恋心が女性たちの心をつかみました。昭和時代のピュアなラブストーリーに回帰するようなシーンの連続で、俳優たちへの好感度もグッと上がったのです。

かつて同性愛者の役柄は、変わり者として描かれがちだったため、オファーを受けたがらない俳優が多かったものの、『おっさんずラブ』以降は「むしろチャンス」というイメージが強くなりました。繊細な感情表現などで演技力を見せる絶好機であり、「人を愛するということ」「無償の愛とは」などを視聴者に考えさせられる役柄に変わったのです。

繊細な感情表現を見せることで、視聴者だけでなくテレビマンからも演技力を評価され、次のオファーにつながりやすいのも躍進のポイント。実際に女性相手のラブストーリーはもちろん、刑事や医療などの定番ジャンルなどへの出演チャンスも広がっています。

また、BLドラマのファンは、放送終了後もそのキャラクターを愛し続ける傾向があり、演じた俳優を温かく見守り続けてくれることもメリットの1つ。放送終了後も、「応援し続ける」という人が多く、だからこそ今夏のようにゴールデン・プライム帯の作品に起用されやすいのです。

◆今後はゴールデン帯での放送も視野に

この流れは元を正せば、BLドラマの制作サイドが、「見た目や人気より、演技力をベースに若手・中堅俳優を選んでオファーをしている」ことの表れ。繊細な演技のできる俳優を見極めてチャンスを与え、俳優がそれに応えることによって躍進につながっているのです。

たとえば田中圭さんは『おっさんずラブ』の出演時、すでに最高クラスのバイプレーヤーでしたが、主演はほとんどなく、一般的にも「顔と名前が一致するかどうか」というギリギリのラインでした。その状態でも思い切って起用した制作サイドの目利きが現在の人気と活躍の出発点だったのです。

また、現在27歳の赤楚衛二さんは、それまでゴールデン・プライム帯のドラマにはゲスト出演ばかりでしたが、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のあとにレギュラー出演が決定。さらに秋放送予定の『世にも奇妙な物語’21秋の特別編』で主演を務めることが発表されています。現在34歳の猪塚健太さんにも同様の変化が見られますし、「いかにBLドラマが若手・中堅俳優のターニングポイントになっているか」がわかるでしょう。

最後に彼らの躍進を語る上で、もう1つ忘れてはいけないのは、制作サイドがBLドラマを特別なものではなく、普通のラブストーリーとして真面目に描いたこと。これによって、時代の流れである多様性の尊重を表現するとともに、異性愛のドラマに慣れていた人々にとって新鮮であり、むしろ「ひさびさに純愛を感じる」ものになりました。

まだ深夜帯での放送ばかりですが、ここで挙げた若手・中堅俳優たちの躍進によって、近いうちにゴールデン・プライム帯でBLドラマが見られる可能性は十分ありそうです。

【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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