【ぴいぷる】写真家・善本喜一郎、時空を活写! 37年の変遷 当時は前を向き胸を張っている人が多く、いまは下を向いている人が多い - イザ!

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写真家・善本喜一郎、時空を活写! 37年の変遷 当時は前を向き胸を張っている人が多く、いまは下を向いている人が多い

 「親子2世代で楽しんでくれるのがうれしくて。親はかつて見た東京を懐かしく思い出し、若者は新旧の風景の変遷にただ驚く。写真を通じ、時空を超えてほしい」

 1冊の写真集が話題を呼んでいる。渋谷駅ハチ公前広場や東京駅ホームなど、37年前と現在をまったく同じ地点からとらえた「東京タイムスリップ 1984⇔2021」(河出書房新社)。5月末に書店に並ぶや早くも重版がかかる人気だ。

 80年代。若者文化の一端を築いた雑誌「平凡パンチ」(マガジンハウス)の特約カメラマンとして名をはせた。「CCガールズらアイドルのグラビアから、競泳の北島康介のポスター、作家、池波正太郎の特集まで。あらゆるジャンルが被写体でした」と振り返る。

 一方で「依頼された仕事以外、自分を見つめ直す写真を撮れ」という師匠の教えに従い、「東京の街を武者修行のように撮り続けた」と語る。

 師の名は森山大道と深瀬昌久。日本を代表する写真家だ。

 独り立ちした83年の翌年、撮りためた写真を数えてみると、36枚撮りの35ミリフィルムで約500本にものぼっていた。

 「昨年のコロナ禍、仕事が激減する中で、写真を整理していたら大量のネガが見つかって。『これは面白い』と見ていたら自分が撮ったことも忘れて、引き込まれていました」

 気づくとカメラを持って37年前と同じ場所に立っていた。「できる限り同じ状況で撮影しよう」と決めた。

 「人混みや車に電車、バスの位置も同じ位置になるまでシャッターチャンスを待ちました」

 奇しくも師匠の森山のドキュメンタリー映画が今年公開され、来年は深瀬を浅野忠信が演じる映画の撮影が始まる。両巨頭の“最後の弟子”は何を受け継いだのか。

 「『とにかく撮れ』『写真を楽しめ!』。この教えだけは守り続けてきたつもり。だからこそ、コロナ禍のピンチにも、写真集を出すことができたのだと思います」

 84年と2021年の違いは?

 「風景はもちろんですが、1984年は前を向き胸を張っている人が多く、2021年は下を向いている人が多いな、と。原因はスマホですよ」と苦笑した。

 あの時代、そこを歩いた人々は、今がこうなっていることをつゆほども想像せず、通り過ぎたことだろう。その素の光景に、理由なくひきつけられる。

 「撮りたい被写体は尽きません。今も毎日、街を歩いてそんな被写体を撮り続けています。これからもずっと」

 師の教えが、今日も街へと向かわせる。(ペン・波多野康雅 カメラ・南雲都)

 ■善本喜一郎(よしもと・きいちろう) 写真家。日本広告写真家協会専務理事。1960年12月13日生まれ。60歳。東京都出身。都立八王子東高校卒業。東京写真専門学校(現東京ビジュアルアーツ)で森山大道、深瀬昌久に学ぶ。2人のほか、“アラーキー”こと荒木経惟のアシスタントも務めた。83年に独立後、雑誌「平凡パンチ」「ターザン」「ブルータス」「ポパイ」などで数々のグラビアを手掛ける。2004年、北島康介Arena2002シリーズ広告で「年鑑日本の広告写真2004」入選など入選多数。

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