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欧米に「闘争」習氏の100年演説 先行きは内憂外患で爆発寸前 与野党祝電に米欧あきれ

習国家主席は、中国共産党創建100年の祝賀大会で、好戦的な演説を披露した=1日、北京・天安門広場(共同)
習国家主席は、中国共産党創建100年の祝賀大会で、好戦的な演説を披露した=1日、北京・天安門広場(共同)

 中国共産党の習近平総書記(国家主席)が、欧米諸国との軍事的対決を強く示唆した。党創建100年を記念した演説で、自由・民主主義陣営との関係悪化を念頭に「闘争」という言葉を繰り返し、国民に覚悟を求めたのだ。自国の人権弾圧や軍事的覇権拡大に対する反省や逡巡(しゅんじゅん)は皆無のようだ。米国では、新型コロナウイルスの「起源」をめぐる追加調査も進んでおり、来年の北京冬季五輪のボイコットも現実味を帯びてきた。内憂外患の習中国。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が、暴発寸前の「赤い帝国」に迫った。

 習総書記は1日、北京の天安門広場で開かれた祝賀大会で演説した。「われわれは目標である『小康社会』を実現した」と成果を誇る一方、「われわれに圧力を試みる外国勢力は14億の中国人民が血肉で築いた『鋼鉄の長城』に打ちのめされるだろう」と強調した。

 習氏の好戦的姿勢が鮮明に示されている。中国を批判する「自由・民主主義勢力」と対決する決意を宣言した、と受け止めるべきだ。

 それは、「香港」や「台湾」といった具体的な地域名に言及した点にもみてとれる。米国や欧州、日本は首脳会議を開くたびに、それらに言及し、中国に自制を求めてきた。

 ところが、習氏は「中央当局が香港・マカオに完全な権限を持つ」「台湾問題の解決は党の歴史的任務」と訴えた。新疆ウイグル自治区を念頭に「党と人民を切り離そうとするたくらみも実現しない」とも語った。これでは、事態の改善は望めない。

 小雨が降るなか、広場に集まった7万人を超える群衆は赤い国旗(五星紅旗)を振って、上空を飛ぶ空軍機に応えた。この日が中国共産党にとって、最高の晴れ舞台だったのは間違いない。

 だが、この先は「内憂外患」が待ち構えている。

 まず、来年の北京冬季五輪が無事、開けるかどうか。

 米国や欧州では、100万人超ともいわれるイスラム系ウイグル人を強制収容所に隔離し、働かせている問題で、「北京五輪ボイコット論」が強まっている。「ユダヤ人がナチスに迫害されていたのに、1936年のベルリン五輪を認めてしまった過ちを繰り返すわけにはいかない」というのだ。

 米国は新疆産の綿花を使った製品の輸入を禁止した。習氏が耳を傾ける姿勢を見せない以上、ボイコット問題は秋以降、輸入禁止問題とともに、燃え盛るに違いない。

 新型コロナの「起源」をめぐる問題も爆発寸前だ。

 ジョー・バイデン米大統領は、中国・武漢の中国科学院武漢ウイルス研究所からの「流出説」を念頭に、情報機関に徹底調査を指示した。

 米国立アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士のメールが暴露され、米国納税者の資金が武漢ウイルス研究所に流れていたことも明らかになった。ファウチ氏は「武漢で新型コロナにつながるウイルスの研究が行われていた」と知っていただけでなく、資金まで提供していたのだ。大スキャンダルである。

 390万人以上の死者が出た世界の人々は、米国側関係者とともに、「真実を隠蔽」していた中国を許さないだろう。

 中国国内を見れば、国有企業の非効率と膨大な不良債権が成長の足かせになっている。人々は生活が豊かになる限り、共産党支配を容認しても、成長が止まり、格差が拡大すれば、疑問視する声が高まる。その過程は始まっている。

 党内抗争の芽は至るところにある。米国が人権弾圧などを理由に実施している党幹部への制裁は「習近平のせいで、引退後のフロリダ暮らしが台無しになった」という不満を高めている。習氏は一層、微妙なかじ取りを迫られる。

 日本はどうするのか。

 与野党幹部は創建100周年で祝電を送っていた。米欧はあきれたに違いない。菅義偉政権は断固として中国に立ち向かう姿勢を示すべきだ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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