【突破する日本】LGBT法案、不当差別許されないが「ファッショ」に導くのは危険 - イザ!

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LGBT法案、不当差別許されないが「ファッショ」に導くのは危険

東京五輪出場が決まったニュージーランド重量挙げ女子代表、ローレル・ハバード選手(ロイター)
東京五輪出場が決まったニュージーランド重量挙げ女子代表、ローレル・ハバード選手(ロイター)

 歌手の宇多田ヒカルが先日、「私はノンバイナリー(=自分のことを女とも男とも位置付けていない人)」と告白した。自分の性別を認識する「性自認」の問題だ。昨今、LGBT(性的少数者)が話題になることが多いが、まだ全体のコンセンサスが成立しておらず、混乱しているのが現状だ。

 性自認では、東京五輪の女子重量挙げに、トランスジェンダーのニュージーランド人選手が出場する。ライバルからは「不公平」との不満がある。

 米東部コネティカット州では、トランス女性が女子高校陸上のタイトルを独占し、地区大会出場やスポーツ奨学金による大学進学が阻まれたと訴訟になっている。米国には、女性の活躍を阻む「ガラスの天井」を破ってきた歴史があるが、新たな「ガラスの天井」が設けられたと批判されている。

 英国では、女子刑務所に収容されたトランス女性が、性的指向がレズビアンであるとして女性をレイプし、英国法務省は男子刑務所に収容することにした。女性の権利擁護団体からは称賛されたが、トランスジェンダー擁護団体からは批判されている。

 日本でも、経産省職員のトランス女性が、近くの女性トイレの使用を禁じ、2階離れたトイレの使用を求めた経産省を訴えた裁判で、東京高裁は原告の訴えを退けた。一審の東京地裁の判決を覆す逆転判決となった。公文書の性別欄を廃止する自治体や、男女別の制服を見直す学校も相次いでいる。

 性的指向では、「同性婚」を求める裁判や、同性カップルの関係を男女の婚姻に「相当する」とする同性パートナーシップ制を導入する自治体も増えている。

 LGBTに当たる人たちは存在する。不当な差別はあってはならない。だが、国家・社会の制度・慣行を彼らの視点から点検し、「差別」であるとして見直しを求めるのは行き過ぎだ。

 自民党内で意見がまとまらず見送りとなった「LGBT理解増進法案」は、目的・理念に「全ての国民が、性的指向又は性自認にかかわらず」「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」の文言が入っている。すべての性的指向と性自認を等価値に扱わなければ「差別」となるという趣旨だ。トランス女性の要求を受け入れなければ「差別」となり、同性婚を認めなければ「差別」となる。

 LGBTは先天的でなく、幼少期の虐待や性的虐待などによる環境要因説も有力だ(吉源平他著『同性愛は生まれつきか?-同性愛の誘発要因に関する科学的探究-』=22世紀アート=)。性的指向・性自認は変化するとする学術的見解もある。

 これらを整理したうえで、すべての人が生きやすい社会をつくる必要がある。「LGBTファッショ」に導く法案は拙速だ。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了、政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。皇室法制、家族法制にも詳しい。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学国際学部教授。内閣官房・教育再生実行会議有識者委員、山本七平賞選考委員など。法制審議会民法(相続関係)部会委員も務めた。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)、『明治憲法の思想』(PHP新書)など多数。

zakzak

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