今どきそんな評価では社員はどんどん辞めていく! 間違いだらけの人事改革 - イザ!

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今どきそんな評価では社員はどんどん辞めていく! 間違いだらけの人事改革

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時代に合わせた人事改革は、頭を抱えることも多い(画像はイメージ 出所:ゲッティイメージズ)
時代に合わせた人事改革は、頭を抱えることも多い(画像はイメージ 出所:ゲッティイメージズ)

社員がついてくる「理念」「ビジョン」を持て!

私は、中小企業を中心に、人事評価制度の構築、運用を2001年から支援しています。現在は、この20年間の中でも最も人事評価制度に対する関心が高まっている時期だと実感しています。

リモートワークの浸透による働き方の変化に伴い、「社員の適切な評価が困難、納得感が得られない」「生産性を上げるために、ジョブ型評価制度に移行する必要性があった」「働き方改革の推進に向けた見直しが必要だった」――背景にはこうした課題があります。

このような会社の中から、新しい評価制度を稼働させた結果、想定外のトラブルにつながったというケースが多発しています。具体的には、「会社の業績へ大きく貢献していた優秀な人材が辞めてしまった」「新しい評価制度で評価し、賞与を支給した結果、不満が増大した」「期待していた若手社員数名から辞めたいと申し出があった」などが挙げられます。

では、社員が辞めない、つまり社員がついていきたくなるのはどのような会社なのかというと、トップをはじめ経営層が何を考え、目指しているか――それが社員にも理解でき、組織の何年後かの姿や、そこで働く自分の将来の姿がイメージできる会社です。つまり「理念」や「ビジョン」が明確で、それを社員と共有できていることが大切になります。そのために必要となるのが、理念やビジョンに基づいた、人事評価制度なのです。

社員が離れていく人事評価制度 3つのパターンとは?

では、トラブルのあった企業が導入した人事評価制度とは、一体どのようなものだったのでしょうか。検証してみると、失敗する人事評価制度は3つのパターンに分類されることが分かりました。

<失敗1>「効率化=評価の簡略化」でモチベーションを下げる

まず1つ目は、クラウド・システム系の仕組みを導入するパターンです。

このパターンの人事評価制度システムを提供する会社は、5年前あたりから増え続けています。ITを中心としたマーケティングが得意な会社が多いので、みなさんが普段、WebサイトやSNS上で広告を目にしている企業も含まれているかもしれません。

クラウド・システムを通じた人事評価制度が掲げる目的は、「人事評価制度の効率化、簡素化」です。もう少し詳しく説明すると、今までは非常に煩雑で人的リソースがかかり、面倒だった評価の集約、またその分析や履歴の管理、被評価者・評価者向けの資料の準備、賃金算出のプロセスなどを、一元化・システム化する。これによって、社長や人事担当者は生産性を上げることができる、というのが一番の売りで、目的とするところといえます。

しかし、この目的を、評価される社員側に伝えるとどうでしょう? 「あなたの評価や賃金を決めるためのプロセスを、今までよりシンプルかつ効率化するために人事評価制度改革を推進します」と会社から告げられて、モチベーションが上がる人がいるかということです。私が社員の立場だったら、モチベーションは下がります。

また、クラウド・システムを通じた人事評価制度を提供する企業は、IT・システム会社です。つまり、組織の制度改革を専門とするコンサルティング会社とはまったく業種が違うのです。IT・システム会社なので、組織の活性化や業績を向上させることを得意とするコンサルタントは存在しないのが一般的です。

<失敗2>人事評価のプロじゃないコンサルを入れる

2つ目のパターンは、大手コンサルティング会社が人事評価制度のコンサルティングを受注するケースです。

世の中にはさまざまなコンサルティング会社が存在しますが、注意しなければならないのは、「コンサルタントが人事評価制度専門ではない場合が多い」ということです。例えば、通常、戦略立案支援を得意とするコンサルタントが、人事評価制度コンサルティングの依頼がきたときのみ、これに携わるといったケースも散見されます。

このように、“コンサルティング会社の売り上げに貢献するため”にコンサルティングフィーを支払っても、社員の成長ややりがいにつながる人事評価制度は確立できません。私は、その犠牲となった中小企業から「高いコンサルティング料金と時間が無駄になったばかりか、優秀な人材が去っていった」という多くの声を生で聞いています。

<失敗3>“いつもの先生”だから安心、じゃない

3つ目のパターンは、士業の方々が提供する人事評価制度コンサルティングに頼っている場合です。

提供元で一番多いのは社会保険労務士ですが、最近では税理士なども人事評価制度コンサルティングを展開しているところが増えています。コンサルティング料金が安価な場合が多いので、こうした方々と一緒に人事評価制度を構築する中小企業も少なくないようです。しかし、「いつも頼りにしていて、国家資格を有した先生方だから、しっかりした仕組みが構築できるだろう」と安易にお願いするのは要注意。

「経験の浅い方に当たって、人事評価制度の導入や運用時に頻発する不満やトラブルに対処できずに、組織がガタガタになってしまった」「社員のモチベーションを大きく下げることになってしまった」という事例報告をいくつも受けています。

3つのパターンをご紹介しましたが、いずれかに該当する人事評価制度を導入した会社で、長期にわたって人材の成長や会社の業績に貢献し続けているところを、私は1社も聞いたことがありません。

「社員も組織も豊かになる」という目的を伝えること

では、どういった人事評価制度を導入すれば成功するのでしょうか。そのためには、次の2つのポイントを押さえておくことが重要です。

まず、人事評価制度が持つ本来の目的――「人材を育成し、社員も組織も豊かになる」ということを全社員で共有する。これが1つ目のポイントです。そのためにまずやるべきなのは、「どうやって組織を豊かにしていくのか」を社員全員に明確に打ち出すことです。これを、経営理念やビジョンを盛り込んだ「経営計画」で明示します。

経営計画を通じて、組織の未来を社員と共有し、その実現のための仕組みとして人事評価制度に取り組むのです。この考え方を浸透させることができれば、自分たちの豊かで幸せな未来づくりに必要なものが人事評価制度ということになるわけですから、全社員が自ら前向きに取り組んでくれるようになります。

“みんなが豊かに!”この目的に向かって全社員で取り組むことで、改革を成功に導くことができるのです。

人事評価制度の「本番」は導入後!

2つ目のポイントは、人事評価制度導入後の運用を重視して、トップが先頭に立って改革を推進することです。

先に述べたように、人事評価制度は「豊かな会社の未来を実現するため」に組織全体を改革するプロジェクトです。“組織全体”に関わるものですから、トップ自らプロジェクトを導いていかなければ決して成果には結びつきません。

そして、この成果を生むプロセスは、人事評価制度の設計にあるのではなく、あくまでも導入後の運用にあります。なぜなら組織そのものが成長していくということがゴールなので、人事評価制度が構築できた時点でこのゴールにたどり着くことはあり得ないからです。

導入後が本番だという気構えで、社長自らその運用状況をモニターしながら改善を指示し、組織を成長に導いていくこと。これが最も重要な成功のポイントなのです。

この2点にこだわった人事評価制度に取り組むことで、社員の心を惹きつけ、個々がイキイキと活躍しながら成長し、どんな環境でも進化し続ける強い組織に生まれ変われるはずです。

山元浩二(やまもと こうじ)氏のプロフィール

日本人事経営研究室株式会社、代表取締役。経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。10年間を費やし、1000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。

著書に「小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、「小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方」(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である「【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方」(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。

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