【これぞ男の時代劇 原田芳雄の世界を見たか】勝新太郎と共演「浪人街」でみせた壮絶な死闘 - イザ!

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これぞ男の時代劇 原田芳雄の世界を見たか

勝新太郎と共演「浪人街」でみせた壮絶な死闘

『浪人街』などの演技で1990年度のブルーリボン賞の主演男優賞に輝いた
『浪人街』などの演技で1990年度のブルーリボン賞の主演男優賞に輝いた

 原田芳雄と勝新太郎。名前が並ぶだけでゾクゾクする2人の名優は時代劇の共演作が多い。

 1975年には勝のテレビシリーズ『座頭市物語』の13話「潮風に舞った千両くじ」に原田がゲスト出演。市(勝)は、恩赦で3年ぶりに島から帰った勝浦の新助(原田)からもらった富くじが大当たりしたことを知り、くじを返そうとする。そのころ新助は女房のおはま(赤座美代子)とよりを戻そうとするが、女は親分の五郎蔵(小池朝雄)の情婦になっていた。勝を新人時代から知る大映出身の井上昭監督は、打ち寄せる荒波を巧みに使い、新助の無念と市の怒りを表現してみせた。

 原田は勝主演『痛快!河内山宗俊』に、すご腕の浪人、金子市之丞役でレギュラー入り。幕府上層部の秘密を仕入れては、強請りで金を稼ぐ江戸城の茶坊主、河内山宗俊(勝)、スリの丑松(火野正平)、元御家人の直次郎(出門英)とともに暴れまくる。

 映画では90年の『浪人街』が印象的だ。

 町のはずれの居酒屋で新参の荒くれ者、荒牧源内(原田)は用心棒の赤牛弥五右衛門(勝)とささいなことでとにらみ合う。2人をとりなしたのは母衣権兵衛(石橋蓮司)。彼らは妹のおぶん(杉田かおる)とともに帰参を夢見る長屋暮らしの土井孫左衛門(田中邦衛)の力になろうとするが、それには大金がいる。一方、連続夜鷹殺しをめぐり、無頼の旗本集団と対立した荒牧は、人質になったお新(樋口可南子)を助けるため、120人の敵に斬り込んでいくのだ。

 28(昭和3)年公開のサイレント映画の傑作を原田の代表作『竜馬暗殺』の黒木和雄監督、『仁義なき戦い』の笠原和夫脚本で再映画化した。勝の出演は原田、監督、一同が熱望し、実現した。ラスト17分間の死闘はすさまじい。上半身裸で髪を振り乱した荒牧は右に2本、左に3本の刀を差して突進。これは原田自身のアイデアだったが、いざ現場で動こうとすると、刀が抜けにくくて困ったという。その荒牧の前に敵方として現れる赤牛。不気味なまでに動きを抑えた赤牛の壮絶な瞬間も、勝でなければできないシーンといえる。

 アナーキー、アウトロー、ハプニング…。『浪人街』は平成の作品だが、昭和の映画につけられるキャッチフレーズがぴったりくる。それはそっくりそのまま原田と勝によく似合うのである。 (時代劇研究家)

 ■原田芳雄(はらだ・よしお) 1940年2月29日生まれ、東京都出身。67年に『天下の青年』(フジテレビ系)でデビューし、翌68年には『復讐の歌が聞える』で映画デビュー。100本を超える映画に出演し、2003年に紫綬褒章を受章。11年7月19日、肺炎のため71歳で死去。



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