静岡県熱海市伊豆山(いずさん)の大規模土石流で、関係省庁は6日、原因究明や被災地支援、他地域での同種災害防止などの対応策を打ち出した。小泉進次郎環境相は、土石流の起点付近に太陽光発電設備が設置されていることから、山林開発などを伴い災害を引き起こす恐れのある太陽光発電所の立地規制を検討すると表明。棚橋泰文防災担当相は、被災者生活再建支援法を熱海市に適用し、被災者の支援に乗り出す意向を示した。
「急傾斜地への設置を懸念する地域もあり、ここに建てるべきではないとの対応も必要ならやるべきだ」
小泉氏は閣議後記者会見で、太陽光発電所の立地規制の検討に言及。今回の土石流と同設備の因果関係は確認されていないが、不安払拭に向けた規制の必要性を省内で議論する構えだ。
梶山弘志経済産業相は、現場付近にある太陽光発電設備の事業者に対し、聞き取りを実施する方針を明かした。この設備は、国が進める固定価格買い取り制度(FIT)の認定を受けており、政府による原因究明の一環として行うという。
また、赤羽一嘉国土交通相は、全国で同様の危険な場所があるかどうか「盛り土(造成地)の総点検」を実施する方針を示した。関係省庁と連携し、調査事項や対象箇所など基準を策定する作業を進めていく。
一方、急務となる被災地支援策も打ち出された。棚橋氏は、住宅被害が「全壊10世帯以上」などの要件を満たした自治体が対象となる被災者生活再建支援法を適用する意向を明かした。
全壊により新築する場合の300万円をはじめ、住宅の被害程度や再建方法によって支援額は異なる。原則として財源は都道府県による基金と国が折半する。武田良太総務相は熱海市に対し、災害対応の財源確保に向けた市からの要望を受け、9月分の普通交付税を前倒して配分する。