【有名人のメンタル事情】元中日・門倉健コーチ 失踪の深層…本当にうつ病だったのか - イザ!

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元中日・門倉健コーチ 失踪の深層…本当にうつ病だったのか

無事帰宅した門倉氏。「家族すら経緯が聞けない」と妻は夫がうつ病であることを公表した
無事帰宅した門倉氏。「家族すら経緯が聞けない」と妻は夫がうつ病であることを公表した

 元中日・門倉健コーチ(47)の失踪騒動は不可解でした。22日間に及んだ失踪騒動は、奥さんが夫の帰宅をブログで公表し、「うつ病と診断されました」と書いたことで収束しました。失踪中は、女性問題や金銭問題も報じられましたが、後追い報道はありません。腑に落ちないのではないでしょうか?

 問題は、うつ病が原因で失踪してしまうことがあるのかどうか? あるいは、うつ病とは言うものの、それはとりあえずそう診断されただけではないのか? ということでしょう。

 報道を振り返って思うのは、うつになるとある日突然、失踪するケースがあり得るということです。私が知っているケースでは、ばりばり働いていて妻子もいる40代男性が、門倉氏と同じように、いなくなりました。

 自分がうつではないかと疑っている人は意外と多いものです。気分の落ち込みが激しいと、そう思うのも無理はありません。そのことを誰にも相談できず悶々(もんもん)と悩み、ある日プッツンしてしまうのです。

 スポーツ選手のように大柄で何事にも動じず、腰が据わっている-というのは、見た目に過ぎません。門倉氏も実際は、極めて繊細な人なのではないでしょうか。

 かつて、“王貞治2世”と期待されながら実績を残せず、失踪した選手がいました。1966年のドラフト会議でサンケイから1位指名された奥柿幸雄です。2年目に4番を任されたこともあって大いに期待されましたが、本塁打は数本、打率も1割台に低迷。4年後のオフに秋季練習を無断で休み、失踪してしまいました。その後、姿を現して「プロ生活に自信をなくした」と引退を表明したのです。門倉氏のケースも似ているように私には思えます。

 うつ状態がつのると、現実から逃避してしまいたいという気持ちが強まります。たとえば子供が学校に行きたくなくなって、近所をぶらぶらするというような状況です。これは軽いうつです。しかし、大人の場合、気がついたら別の場所にいたというケースがあります。ともかく逃げたいという一心で、本人も知らずに行動してしまうのです。門倉氏はこのケースだったかもしれません。

 実際のところ、うつ状態とうつ病との間に、明確な境界線はありません。しかし、本当にうつ病なら、電車や飛行機に乗って、目的地に向かうという明確な行動をとることはあまり考えられません。

 そのため、精神科医から見ると、ほかの見立ても可能です。たとえば、「回避性パーソナリティ障害」です。この場合は、回避性というように、自分が否定されることに耐えきれず、そこから逃れようと行動します。「自分は社会にとって必要のない人間だ」「自分は他の人より劣っている」などと思い込み、人との交流を嫌うのです。

 もう一つ、「解離性障害」という精神疾患も考えられます。こちらのほうが、失踪行動につながります。発症はなんらかのトラウマ的な出来事によります。たとえば、大事故、大災害に遭遇する、過失により愛する人間を失ってしまうなどすると、人間は、その場から逃げたくなるのです。家庭や職場から逃げて、誰も知らない土地で新生活を始めるといったことをします。たいていは数日間、長くて半年ほどで帰ってきますが、そのとき、多くのケースで記憶が飛んでいます。

 門倉氏に関しては推測の域を出ませんが、現代がストレスフル社会であることは確かでしょう。

 ■吉竹弘行(よしたけ・ひろゆき) 1995年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、浜松医科大学精神科などを経て、明陵クリニック院長(神奈川県大和市)。著書に『「うつ」と平常の境目』(青春新書)。

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