盛り土・メガソーラー、政府調査へ 熱海の大規模土石流 全国各地に危険地帯 「環境・ウイグルの人権問題など検証せず数に力点」石井孝明氏 - イザ!

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盛り土・メガソーラー、政府調査へ 熱海の大規模土石流 全国各地に危険地帯 「環境・ウイグルの人権問題など検証せず数に力点」石井孝明氏

宅地や太陽光発電所(右)にはさまれた土石流の起点とみられる現場(中央)
宅地や太陽光発電所(右)にはさまれた土石流の起点とみられる現場(中央)

 静岡県熱海市伊豆山の大規模土石流をめぐっては、大量の盛り土が被害を拡大させたと指摘され、責任の所在が問題になっている。一方、自民党からは現場付近の大規模太陽光発電所(メガソーラー)との関連についても調査を求める声が上がり、政府側は必要に応じて調査する方針を示した。今回の土石流との因果関係は不明だが、各地の太陽光発電所建設では景観や自然環境、土砂災害などへの影響も取り沙汰されている。

 県によると、土石流の発生源で造成が行われ、約5・4万立方メートルの盛り土があった。これを含む約10万立方メートルが崩れ落ち、逢初(あいぞめ)川に沿って土石流になり「大規模崩落が被害を甚大化させた」とみて調査している。

 土石流の起点で2007年に盛り土をした神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)の元幹部は5日、共同通信の取材に対し「熱海市に届け出て盛り土をした。豪雨はこれまでもあったが、崩れることはなかった」と責任を否定した。

 元幹部によると、不動産管理会社は05年ごろ、埼玉県の不動産会社から土石流の起点となった伊豆山地区の土地を10億円前後で購入。別の土地の整備で生じるなどした残土をここに運んだと説明した。

 この土地の現在の所有者である男性は、代理人弁護士を通じ「盛り土があることを知らずに11年にこの土地を購入した。その後も、盛り土をしたことはない」と話した。

 一方、崩落地の付近に設置されているメガソーラーについて、川勝平太知事は4日の記者会見で「直接の因果関係はみられないとの報告を受けている」と説明した。「開発行為と、土石流の因果関係は明確でない」としながら「上流部での森林伐採は保水能力を著しく減退させる」とも指摘している。

 自民党が5日開いた党災害対策特別委員会(委員長・今村雅弘衆院議員)の会合では、出席議員からメガソーラーと土石流の関連について調査を求める声が上がった。政府側は人命救助や被災者支援が終われば、必要に応じて調査する方針を示した。特別委は7日に被害状況を把握するため、現地視察に入る方向だ。今村氏は「今回の場所は全国どこにでもある。山の中と違って都市部、住宅地ということで、そういった観点からもわが国の防災体制のあり方を考え直さないといけない」と語った。

 東日本大震災直後の2011年3月の閣議決定で、土地に自立して設置する太陽光発電設備は建築基準法の適用から除外され、建築確認などが不要になった。再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入されたことで、各地に太陽光発電所が次々に建設された。

 環境問題に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は「メガソーラーの設置には南向きの斜面が適地とされていて、静岡県をはじめ、瀬戸内海や南九州といった地域に多く設置されているが、設置部分の保水力が低下するリスクが指摘されてきた」と解説する。

 18年7月の西日本豪雨では京都、兵庫、広島、山口、愛媛の1府4県計12カ所の太陽光発電施設が破損。兵庫県姫路市の発電所では斜面の中腹部に設置された約3500枚のパネルのうち3割ほどが地面にずり落ちた。

 20年にはメガソーラーの新設について、環境アセスメント(環境影響評価)の実施が義務化されている。

 前出の石井氏は「11年前後に設置された太陽光パネルには点検の必要がある危険な物件も多い。行政は全国的に保守点検を進める方針を示したが、現状では十分な確認作業が実施されているとはいえない」という。

 最近では人権にかかわる問題も浮上している。太陽光パネルに使われる部材のポリシリコンの生産は、中国の新疆ウイグル自治区で世界の約半分を賄っているというが、米政権は6月、中国系企業からの部材購入を禁止する措置を発表した。

 菅義偉政権は30年度の温室効果ガスを13年度比で46%減らす目標を掲げている。メリットもある一方、問題から目を背けることはできない。

 石井氏は「天候次第では思うように機能しないリスクもあるほか、周辺環境や人権の問題、さらに浸水時には発電機からの漏電が原因となる人への直接的な危害も懸念される。旧民主党政権と自民党政権でこうした課題を十分検証せず数を増やすことに力点を置いていたという印象は否めない」と強調した。


zakzak


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