【有名人のメンタル事情】大坂なおみ選手 誰がかかってもおかしくない“うつ病” - イザ!

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大坂なおみ選手 誰がかかってもおかしくない“うつ病”

大坂なおみ選手(共同)
大坂なおみ選手(共同)

 今回も女子プロテニス、大坂なおみ選手(23)のケースに触れながら、うつ病の話をしてみましょう。

 現代社会に生きる私たちにとって、うつ病はいつ、だれがかかってもおかしくない病気です。私の話が、読者の皆さんの理解を深めることに少しでも役立てば、うれしく思います。

 大坂選手は2018年、全米女子オープンでセリーナ・ウイリアムス選手を破って以降、うつ病に悩まされたと告白しています。ただ私は大坂選手のうつ病は重度のものではなかったと考えます。このことは前回も述べました。

 特に19年の全豪女子オープンでは、4大大会連覇という結果を残しています。重度であれば苛酷な試合に出場し続けること自体困難ですし、そもそも自分からうつ病と告白することもできないのが普通です。

 ではうつ病の状態で、SNSなどを使って情報の発信をすることは可能なのでしょうか。患者さんたちと接してきた私の経験から言えば、これも重度の場合は、ちゃんとした文章を綴ることは難しいと思います。意味をなさない、簡単な単語の羅列という状態になるのが大半です。

 直接、診察しているわけではないので、大坂選手がいま、どのような状態にあるのかは当然私には分かりません。ただ一般的に、うつ病の際の行動としてしばしば、次のような事例が見られます。

 うつの状態が続いていたのに、ある時期積極的になり、よく言えば「自己主張」できるようになることがあります。それまでのうつの症状とは逆に、言動が活発になる状態です。これは「躁転(そうてん)」と呼ばれる症状の変化です。精神科医から処方される抗うつ薬の副作用が原因となります。

 治療の過程で患者が躁転していないかどうか、精神科医にはつねにそれを見極め、適切に対処すべき重い責任があります。一般論ですが、本来内気で人前で話すのは苦手という性格の人が、ある時期強い主張をしたりする場合には躁転の可能性を疑い、治療の方法を修正する必要があります。

 「うつの状態のはずが、言動は活発で積極的」という症状に関して、もうひとつ注意すべき点をお話しします。こうした場合、実は「うつ病」ではなく、「躁うつ病」にかかっている可能性が考えられます。

 「躁うつ病」はより専門的には「双極性障害」と言います。躁うつと呼ばれるため、うつ病の一つと考えられがちですが、まったく違う病気です。躁うつ病ではその名の通り、躁の状態とうつの状態が繰り返し現れます。

 問題は、うつ病と躁うつ病の見極めが簡単ではない、ということです。日常のなかで現れる軽い躁状態を見逃してしまうと、誤ってうつ病と判断されかねません。そして、その誤った診断にもとづいてうつ病の治療を続けると、かえって躁うつ病を悪化させてしまうことになってしまいます。

 話を大坂選手に戻します。大坂選手は誰もが認めるトップアスリートであり、テニス界の宝です。日本の誇りでもあるこのスターがいま、難しい問題に直面し、苦悩しています。テニス関係者はぜひ、必要で十分な支援を与え、立ち直りを支えてほしいと思います。そのためには信頼できる精神科医にかかり、適切な診断と治療を受けることが不可欠です。

 ■吉竹弘行(よしたけ・ひろゆき)

 1995年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、浜松医科大学精神科などを経て、明陵クリニック院長(神奈川県大和市)。著書に『「うつ」と平常の境目』(青春新書)。

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