コロナ専門 防波堤の使命感、大阪・十三市民病院

産経ニュース
十三市民病院の西口幸雄院長=大阪市淀川区(南雲都撮影)
十三市民病院の西口幸雄院長=大阪市淀川区(南雲都撮影)

新型コロナウイルスの「第4波」で大阪府は病床不足が深刻化し、医療崩壊を招いた。コロナ専門の大阪市立十三(じゅうそう)市民病院(同市淀川区)の西口幸雄院長は産経新聞のインタビューに答え、「防波堤になろうとしたが、感染の勢いが強すぎて受け止められなかった」と吐露。現在はインドで最初に確認された変異株「デルタ株」による感染再拡大に警戒感を強めているといい、市民に早期のワクチン接種を呼びかけた。

搬送されてきた患者を受け入れる十三市民病院の関係者=6月下旬、大阪市淀川区(同病院提供)
搬送されてきた患者を受け入れる十三市民病院の関係者=6月下旬、大阪市淀川区(同病院提供)

想定超える 第4波の勢い

「急速にベッドが埋まった。他病院の準備ができるまで患者を受け止めるつもりだったが…」。西口院長はこう語り、3月から今も続く第4波の感染状況が想定以上だったと明かした。

同病院は昨年5月から、全国初の中等症専門病院として稼働し、全70床に延べ1200人以上が入院。特に今年5月11日までの約1カ月は、マンパワー的に運用がぎりぎりの約60人の入院患者を抱える状況が続いたという。

開設以降、同病院で亡くなったコロナ患者は計64人で、このうち34人が第4波で死亡。多くは高齢で、いずれも治療中に重症化した人だったという。死者数は、昨年10月から半年にわたった第3波の26人を超えた。

変異株の影響もあってか、症状が急変するケースも多かった。重症化した患者は集中治療室(ICU)を備えた重症病床に移すことが望ましいが、同病院にICUはなく、加えて、ピーク時は府内の重症者数が確保病床数を上回っており、他の病院に重症患者を受け入れる余裕がなかった。転院までの時間を稼ぐため、患者に大量の酸素を送り込むことで、悪化を防ぐことが精いっぱいだったという。

病床に余裕がない中で、重症から症状が緩和した医療現場で「下(くだ)りコロナ」と呼ばれる転院患者は積極的に受け入れたという。一日に受け入れ可能な中等症患者は8人程度だったが、連日上限いっぱいに近い患者を受け入れ続け、下りコロナに限れば4~5月だけで計43人を引き受けた。「うちが断れば重症病床が空かない」という〝防波堤〟としての使命感で対応を続けた。

デルタ株拡大 第5波警戒

一方、府は感染再拡大による「災害級非常事態」を想定し最大計3500床を確保する病床計画を発表した。中等症から重症化した患者を搬送することなく一体的に治療を行う「中等症・重症一体型病院」を新設し、「軽症・中等症病院」と、より高度な治療となる人工心肺装置(ECMO)に対応できる「重症拠点病院」の3つで展開するとしている。

西口院長は計画を評価しつつ、とにかく重症病床を上積みすることが重要だと強調。同病院は「軽症・中等症病院」として運用する意向といい、「下りコロナの患者を引き受けて、重症病床を支えていきたい」とする。

7月2日の大阪府の新規陽性者は123人だが、2桁となる日もあるなど、感染状況は比較的落ち着いているともいえる。

しかし、西口院長は、感染力が強いとされるデルタ株の拡大に懸念を示した。そのうえで「第5波は必ず来ると思っている。ワクチンの効果を期待しているし、できるだけ早くみなさんに打ってほしい」と呼びかけた。(小泉一敏)

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