【お金は知っている】インフレ米国とデフレ日本の憂鬱 モノの値段が安いのに貧しくなるばかり - イザ!

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インフレ米国とデフレ日本の憂鬱 モノの値段が安いのに貧しくなるばかり

 米国では、原油価格が高騰し、消費者物価を押し上げている。物価が下がり続けるデフレから一転して、今度はインフレ懸念であり、金利先高観が市場を覆い、株価を押し下げる。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「インフレが一時的であるという見通しには一定の自信がある」と議会証言し、金融市場をなだめるのに躍起となっている。

 こうした米国のインフレ再燃騒ぎは日本にとっては別世界である。グラフは日米の消費者物価の前年同期比増減率と原油相場について、中国・武漢発新型コロナパンデミック(世界的大流行)が勃発した昨年4月以降の推移を追っている。

 日本は物価上昇率が下向き、昨年10月以降マイナスに落ち込んだままなのに対し、米国物価はコロナ禍が始まっても下落せず、ワクチン接種が本格化して人の動きが徐々に元に戻り始めた今年3月以降、急上昇している。この違いはどこから来るのか。

 経済学教科書流にいえば、物価は需要と供給の関係で決まり、需要が供給を上回れば上がり、供給が需要をしのぐと下がる。それが続けば、景気過熱もしくは不況となる。コロナ不況からの回復が目覚ましい米国でインフレ懸念が高まるのは経済法則に適(かな)っていることになるが、パウエル議長は「インフレは一時的」だと断じた。

 クルマ社会米国の場合、コロナ禍以前から、物価と原油価格の相関度が世界でもずば抜けても高い傾向がある。

 コロナ禍を受けてエネルギーへの実需が落ちても、原油価格は上がっていた。原因は超金融緩和にある。FRBは財政出動のために増発される米国債を買い上げ、巨額のドル資金を発行して金融市場に流し込む。日本も同じく、日銀が大量の金利ゼロ%以下の円資金を金融市場に投入するが、デフレ不況の国内では実体経済に回らず、ドルに換わって国際金融市場、特にニューヨーク市場になだれ込む。

 こうして膨れ上がるドルの余剰資金が原油など国際商品市場に向かう。米景気回復期待が生じると原油価格上昇は加速する。それが原油高騰の実相で、極めて投機的なのだ。パウエル議長はそれを見越して、盛んに「一時的上昇なのだから、金融引き締めは考えていない」と強調するのだ。

 その見立てが正しいかどうかは、原油の生産・供給が元に戻るかどうかが鍵となる。米国はトランプ政権時代、シェールオイルの増産によって中東やロシアを抜いて世界一の産油国になったが、コロナ不況を受けて生産は停滞している。

 米石油業界は増産のための設備投資には慎重だ。バイデン政権が掲げる脱炭素政策をみて、先行きの石油需要が伸びないとの予想が根強いからだ。となると、高値の原油相場とインフレ懸念は今後も続きかねない。

 ここで心配なのは日本だ。デフレ下で原油コストが上がると、賃金の押し下げ圧力が高まる。日本はモノの値段が安いのに貧しくなるばかりだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

zakzak

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