【これぞ男の時代劇 原田芳雄の世界を見たか】復讐に燃える渡世人がハマった「丈吉」シリーズ - イザ!

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これぞ男の時代劇 原田芳雄の世界を見たか

復讐に燃える渡世人がハマった「丈吉」シリーズ

野性味あふれる俳優だった
野性味あふれる俳優だった

 名優・原田芳雄が世を去って10年。その足跡を時代劇作品で振り返ってみたい。

 1940年、東京に生まれた原田は都立本所工業高校を卒業後、1年半ほど銀座の商事会社に勤務してから俳優座養成所に入所。退団後、多くの映画、ドラマに出演した。野性味ある“原田芳雄”とは違う優等生的な経歴だが、実際はサラリーマン時代もまともに出社しなかったとか。養成所も3年で卒業するところを1年落第したため、14期で入り、15期で出たという(14期には吉田日出子、15期には栗原小巻、地井武男、太地喜和子らがおり「花の15期」と言われる)。

 初期の原田時代劇の代表作といえば、映画『無宿人御子神の丈吉』シリーズ(72~73年)だ。

 房州無宿の丈吉(原田)は1度はかたぎになったが、妻子を無残に殺され、復讐(ふくしゅう)を誓う。妻の形見の赤いしごきを腰に巻き、長脇差の封印を切った丈吉は国定忠治(峰岸徹)ら憎い仇(かたき)を探し求めるのだった。第1弾『牙は引き裂いた』で壮絶なリンチにあい、左手の親指と小指を潰された丈吉は、爪を伸ばして武器にする。敵方の汚いワナからかろうじて逃れた丈吉は、第2弾『川風に過去は流れた』で仇のひとりと死闘を繰り広げ、第3弾『昏に閃光が飛んだ』では、自分を殺すよう頼まれた包丁投げの殺し屋・風車の小文治(夏八木勲)と道連れになる。

 原作は笹沢左保。笹沢の渡世人映像作品といえば、この映画と同じ年に始まったドラマ『木枯し紋次郎』がよく知られる。原田は「紋次郎」の第3話「峠に哭いた甲州路」に出演。恋しい娘を殺されて村人たちに復讐する男を演じている。終盤、悪鬼のようになった男を斬り、瀕死(ひんし)の足の悪い村娘を助けた紋次郎(中村敦夫)は娘殺しの悲しい真実を知る。シリーズの中でも名作とされる切ないエピソードだ。

 「丈吉」シリーズには助っ人の渡世人、伊三郎役で中村も出演している。他にも大楠道代(当時は安田道代)、石橋蓮司ら原田の盟友ともいえる共演者も多い。戦いを重ねるごとにすごみを身に着けていく丈吉。貫禄たっぷりに見えるが、実際は本格的な娯楽時代劇に初主演するため、殺陣のプロにずいぶん鍛えられたという。

 撮影は原田が尊敬する映画カメラマン、宮川一夫。原田はうつむきがちに山道を一人行く渡世人がよく似合う。

  (時代劇研究家)

 ■原田芳雄(はらだ・よしお) 1940年2月29日生まれ、東京都出身。67年に『天下の青年』(フジテレビ系)でデビューし、翌68年には『復讐の歌が聞える』で映画デビュー。100本を超える映画に出演し、2003年に紫綬褒章を受章。11年7月19日、肺炎のため71歳で死去。

zakzak


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