■「早めの減量」「不動心」
❶早めの減量 試合では3~4キロの減量を伴う須崎。カザフスタンでの行動制限を見据え、事前に日本で「ほとんど(体重を)落とした状態」で現地入り。予想通り、宿泊先と試合会場の往来のみで思うように汗はかけず、早めの減量が功を奏して高いパフォーマンスを発揮した。
❷不動心 従来の練習パートナーが濃厚接触者と認定されたため同行できず、現地では急きょ吉村祥子コーチ(52)と日本女子の笹山秀雄監督(55)の胸を借りて調整。須崎は不測の事態にも動じず「1試合目から自分のレスリングはできていた」。コロナ禍のもとで磨いた股裂きも披露するなど、逆境をプラスに転じる発想で自分を磨いてきた。
「試合ができるのは幸せだと思ったし、試合は楽しいと思った。練習してきたことが間違いではなかったと証明できた。ここまできたからには金メダルを獲得し、自分の目標を絶対に達成する」
7月23日に行われる開会式の入場行進で、日の丸を掲げて選手団を先導する旗手の候補にも挙がる。外国勢に初対戦の14年から無敗を続ける金メダル候補が、22歳の誕生日の誓いを成し遂げる。
須崎 優衣(すさき・ゆい)
1999(平成11)年6月30日生まれ、22歳。千葉・松戸市出身。六実(むつみ)第三小の1年時に松戸ジュニアレスリングクラブで競技を始める。六実中(東京・稲付中に転入)、東京・安部学院高をへて現在、早大スポーツ科学部4年。2014―16年に世界カデット3連覇。18、19年世界ジュニア2連覇。17、18年世界選手権2連覇。全日本選抜は4度、全日本選手権は2度優勝。東京五輪代表。153センチ。