東京五輪の1年延期が生んだシンデレラストーリー。女子ゴルフの稲見萌寧(21)はわずか4カ月で、大逆転の日本代表を勝ち取った。
稲見は29日、7月1日開幕の資生堂レディス(神奈川・戸塚CC)の練習日に会見。この日未明に発表された世界ランキングで日本勢2番手の27位につけ、11位の畑岡奈紗(22)とともに五輪代表に内定を受けて、秘めていた本音を明かした。
「めちゃくちゃうれしい。自分を装ってでも“意識していない”と言い聞かせて、目の前の試合に集中していた」。前週は今季初の予選落ち。やはり熾烈を極めた古江彩佳や渋野日向子(22)との代表争いの重圧もあったということか。
もし予定通り昨夏に五輪が開催されていれば、昨年6月29日発表の世界ランクで稲見は4番手の59位。渋野が13位、鈴木愛が15位で、畑岡と合わせて3人が出場権を得ていた。「去年のこの時期は気にする順位でもなかった。(五輪に)出たい気持ちはあるけど、全然近くなかったので目標には入れてなかった」。しかし、今年に入って3月にツアーが始まるとわずか4カ月で5勝。大逆転で五輪切符をつかんだ。
優勝してナンボの普段のツアーと違い、五輪は3位でも表彰台に上がれる。「メダルを取れたら本当にすごいと思うけど、そこまでいける実力かわからない。ベストを尽くせたらいい」。1年遅れの五輪に呼ばれた強運を生かす。 (塚沢健太郎)