「サンパイ女子」もいる 女性雇用を促進する「産廃処理業」 の現場

産経ニュース
集められ圧縮された缶=大阪市西成区(鳥越瑞絵撮影)
集められ圧縮された缶=大阪市西成区(鳥越瑞絵撮影)

環境に配慮した社会の必要性が注目されるなか、〝男社会〟と思われがちな産業廃棄物処理業界に女性を呼び込もうという動きがある。専門誌で業界で働く「サンパイ女子」の特集が組まれたり、女性だけのごみ収集チームが発足したりと、業界もイメージ刷新に力を入れる。そもそも産廃処理業ってどんな仕事なのか。まずはそれが知りたくて、サンパイ女子として、大阪市内のリサイクルセンターに乗り込み、探偵することになった。

大量のペットボトルの山

大阪市西成区、木津川沿いの住宅街の一角に、ピンクの外壁が目を引く建物が建っている。今年創業100周年を迎えた「合同衛生」(同市浪速区)のリサイクルセンター「Combi(コンビ)」だ。恐る恐る中をのぞくと、同社の林博之社長(51)が待っていた。

「ごみを出されるお客さんから『最後どうなっている?』とよく聞かれますが、ここでリサイクルして製品として送り出しているので、最後の行き先までわかるんですよ」

林社長から話を聞いていると、すぐ横をレモンイエローの収集車が滑り込んできた。集められるのは、大阪市内の商業施設などから出された廃棄物がほとんど。この場で車ごと計量し、ペットボトルが詰め込まれたポリ袋などが次々に下ろされ、従業員によって手際よく運ばれていった。

気になるにおいは・・・

さて、「ここからはサンパイ女子におまかせ」。探偵がヘルメットをかぶり、軍手をはめてセンターの中へ。外にいるときはあまり気にならなかったが、奥へ進むとかすかに臭いが…。

「ごみなんで多少の臭いはあるが、分別して加工するので建物の外に漏れる心配はありません」と林社長。確かにそうだ。

手始めに発泡スチロールのリサイクルを手伝う。1個ずつ機械に投入すると砕かれ、摩擦熱で軟化、さらに固化してプラスチックの原料になるという。ごみは軽くて片手で作業できる。

次はビン・カン・ペットボトルの分別ライン。驚いたのはその多さ。ポリ袋にあふれんばかりでチャッチャッと作業しなければ。

カンは磁選機とアルミセパレータで自動分別されるが、ビンとペットボトルは手作業でえり分ける。これが終わったら、ペットボトルを破砕機に投入し、時々詰まらないよう棒で押し込む。粉砕後のペットボトルフレークは、学校の制服やぬいぐるみなどに生まれ変わるそうだ。

ほとんどの作業は機械がやってくれるので力はいらない。しかも廃棄物を回収した合同衛生の事業所によってすでに分別処理した上でここに搬入されるので手や服が汚れることもない。これなら私も気にせず働ける。ただ安全のために軍手とビニール製手袋を二重にはめているので、さすがに暑い。扇風機もエアコンもフル稼働だが、「仕事中はメークをしない方がいいかも」

取材を終えて会社に戻ると、いつも資料とゴミの山に囲まれているデスクに「どうやった?」と興味津々のまなざしで尋ねられた。「私、臭いませんか」と聞き返すと、「全然」という返事に安心する。

イメージを刷新する企業努力

リサイクルで大きな役割を果たす産廃処理業は、社会貢献度の高い仕事ながら、女性に人気の職場かといえば、まだ言い難い。それはイメージの問題も大きいだろう。それでも林社長は「これからは女性も男性も関係ない、そういう時代やと思っているので。女性が増えれば業界もきっと変わる」と力を込める。

業界でも女性の進出を促している。全国産業廃棄物連合会が発行する産業廃棄物処理の専門誌「INDUST(いんだすと)」の平成27年1月号でサンパイ女子だけの座談会の記事が掲載され、その後も業界で活躍する女性を取り上げるようになった。

同会によると「統計はとっていませんが、サンパイ女子はだいぶ増えたと思います。関東地域協議会では女性部会をつくり、それぞれ活動しているようです」という。

また、兵庫県西宮市では女性だけのごみ収集チーム「さくらチーム」が活躍。地域住民に親しまれているという。

男女を問わない職場に

実は合同衛生でも約8年前、同センターに50代の女性を雇い入れたことがある。「今までは男性だけでやってきたので、女性が入りにくい仕事やったかもしれないけど、その人は3年前まで元気に働いてくれました。だから女性がもっと活躍できる場を広めたい」(林社長)

同社は現在、本格的に女性の雇用促進に取り組んでいる。本社のほか、高島屋事業所やウメダ地下センター事業所、アベノハルカス事業所など事業所が5カ所あり、従業員は約140人、うち女性は事務職の7人に過ぎない。女性専用の更衣室を設け、男性と女性でサポートし合える職場環境を整えるという。給料の男女差や年齢制限もなく、勤務時間は午前8時~午後5時で、残業もほぼなし。

広報を担当する神谷悠子さんは「商業施設の事業所に専属で入ってもらい、着替えて作業に出るという形になります。もちろんリサイクルセンターでも、収集車のドライバーでもご希望にそえます。家庭でごみの分別に慣れている主婦の方にも来ていただけるとうれしいですね」と話す。

男女問わず気持ちよく働く職場が街を美しくする。そんな日も近いと確信した。(上岡由美)

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