日本代表最年少20歳の“ミニモニカ”後藤希友、師匠アボット倒す/ソフト

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長い腕を生かしたダイナミックなフォームで最速115キロの直球を繰り出す後藤。代表最年少左腕が日本に勢いをもたらす (撮影・武田千怜)
長い腕を生かしたダイナミックなフォームで最速115キロの直球を繰り出す後藤。代表最年少左腕が日本に勢いをもたらす (撮影・武田千怜)
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東京五輪の開幕まで23日で1カ月。ソフトボールは全競技に先立ち、7月21日に始まる。オーストラリアとの1次リーグ初戦(福島・あづま球場)まで1カ月を切る中、日本代表最年少の20歳、後藤希友(みう)投手(トヨタ自動車)がサンケイスポーツの取材に応じた。期待の左腕は所属チームの先輩で米国のエース、モニカ・アボット投手(35)からエースの極意を学び、初の大舞台に挑む。(取材構成・武田千怜)

「ミニモニカ」が日本のキーマンとなる。師匠は米国のエース左腕、モニカ・アボット。後藤は日本の金メダルへの道に立ちはだかる〝最大の壁〟の教えを胸に東京五輪のマウンドに立つ。

「目標は高く。近づきたいじゃなくて、いずれはモニカを超えたい。まずは東京五輪でしっかりと役割を果たしたい」

名古屋市出身の左腕は日比野中時代、日本リーグの試合を観戦して心を奪われた。「はえ~。この人、かっこいい。同じ左腕でうれしいな」。この時、後藤少女が憧れた人物こそ、アボットだ。日本が金メダル、米国が2位だった2008年北京五輪の決勝でも投げた左腕で、日本のエース、上野由岐子(38)=ビックカメラ高崎=と並ぶ世界屈指の投手だ。現在はトヨタ自動車で後藤のチームメート。最強の環境で鍛錬する20歳はめきめきと力をつけた。

「35歳でまだまだ向上したいと思っているのが見ていてわかる」

練習中のブルペン。隣で投げる憧れの左腕は1球へのこだわりが別格だった。納得いかない球があれば、求めている完璧の球が投げられるまで同じ球を投げ続ける。「自分ももっと成長しなきゃ。指先で覚えた感覚は忘れない。投球練習の時間を大切にした」。コロナ禍で全体練習ができない期間、後藤はテーマを決めて150~200球を投げ込み、制球力を磨いた。

エースの心構えも授かった。長打や得点を許した後の切り替えに悩んだときに、アボットにかけられた言葉を大切にする。「野手は頑張ってくれている。チームを信じて最後まで投げれば絶対に逆転できるチャンスは来る。それを諦めちゃ駄目だよ」。仲間を頼れるようになり、ピンチでの勝負強さが増した。

新型コロナの影響で前半戦が中止となった社会人2年目の昨シーズン。後藤は進化を結果で証明した。コロナ禍でアボットが来日できない中、投手の柱としてけん引。シーズン中盤にアボットが合流するまで首位を死守した。チームを支えた成長株に師匠は「後藤が踏ん張ってくれた。同じ左だし、球が速いし『ミニモニカ』ね」と一目置いた。チームは優勝を逃したが、後藤は9試合に登板し、5勝0敗、防御率1・42で新人賞を受賞。東京五輪の1年延期を成長の機会に変え、最年少で切符をつかみ取った。

アボットが所属する米国は、東京五輪で日本の金メダルの最大のライバルとなる。後藤は対戦を心待ちにし「憧れの舞台で憧れの人と戦うのは一つの夢。投げ合うことになれば絶対に負けたくない。真っ向勝負したい」と言い切った。成長著しい期待の左腕がチームを勢いづける。

◆代表の師匠は上野

日本代表の合宿に参加すれば、最速121キロを誇る大黒柱、上野が師匠だ。後藤は会話をするのは「まだ緊張する」としながらも、「全てを盗もうと思っている」と一挙手一投足を見逃さず、貪欲に吸収。両腕を広げると174センチの身長より4センチ長い腕を生かした最速115キロの直球が武器の左腕は「世界のダブルエースが目の前にいて、一緒にプレーして教わって。こんな経験ができるのは私しかいない。この経験を無駄にしたくない」と2人のエースの背中を追う。