高粘着物質「スパイダー・タック」MLBついに不正投球規制 打者有利でエンゼルス大谷の本塁打王争い熾烈に マリナーズ菊池の投球に影響は… - イザ!

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高粘着物質「スパイダー・タック」MLBついに不正投球規制 打者有利でエンゼルス大谷の本塁打王争い熾烈に マリナーズ菊池の投球に影響は…

大谷の本塁打数は跳ね上がる可能性がある(共同)
大谷の本塁打数は跳ね上がる可能性がある(共同)

 大リーグ機構は15日(日本時間16日)、投手の不正投球を取り締まるための新たなガイドラインを決め、全30球団に通達したと発表した。近年、パワーリフティングなどで使われる「スパイダー・タック」と呼ばれる粘着度の高い物質を使って投げる投手が増えていることから、約2カ月間の周知期間を経て決断した。不正投球が判明した場合は即退場で、10日間の出場停止処分となる。この規制強化により、シーズン後半は打者有利で打力のチームが優位になる可能性があり、エンゼルスの大谷翔平(26)の本塁打王争いも本数が伸びて熾烈なものになることも予想される。

 ロブ・マンフレッド・コミッショナーは声明で「繰り返しの警告にも関わらず、不正投球は一向になくならなかった。MLBはこの2カ月、現役を含め多くの証言とデータを収集し、ファンの声も聞いてきた。その結果、粘着物質などに関して、公平さを確保するための新しいルールが必要だと決意した」と述べた。

 これを受け、メジャーの審判団は6月21日から取り締まりを実施。

 不正と判断されると、投手はその場で退場、自動的に10日間の出場停止処分となる。それでも繰り返し、不正を続けた場合はさらなる厳しい処分になるという。

 審判は先発した投手をイニング間に1回以上チェック。救援投手もマウンドを降りる際に検査される。

 試合中でも、投手がマウンド上でグラブ、帽子、ベルトに手をやるなど不審な動きをした場合は審判はいつでも検査できるとし、投手にボールを投げ返す時に粘着物質をつける可能性のある捕手も常時、審判のチェックの対象。野手が粘着度の高い物質を投手に手渡した場合も即退場、10日間の出場停止となる。

 審判の検査を拒んだ選手も退場処分で、抗議は認められない。

 さらに球団関係者が監督や選手に正しい指導をできなかった場合も制裁の対象となるという厳しさだ。

 大リーグではもともと投手が松ヤニなどを使って投球するのは“暗黙の了解”だった。大リーグのボールは乾燥して滑り易いことから、審判もある程度は黙認していたのが実情だ。

 ところが2018年前後からパワーリフティングで滑り止めに使われる「スパイダー・タック」と呼ばれる粘着性の高い物質が使用されるようになり、今季は打者の三振が激増。滑り止め効果が高いため、投手はボールの回転量を増すことができ、投手優位が目立つようになってきた。メジャーの平均打率も・238で1968年の・237に次ぐ低さになっていたことから、「こうした物質の使用は許容範囲を逸脱している」というのが大リーグ機構の判断だった。

 現実的には大リーグの相当数の投手が、何らかの滑り止めを使って投げているという事実があり、滑り止めの容認派の選手、監督たちは「手元が狂って死球を与える危険を回避する意味がある」としているが、大リーグ機構は「今年5月31日までの集計で死球が頻発しており、この100年間で最も多かった。打者の安全のためという議論は成り立たない」と断じた。

 大リーグ機構が今回、不正投球の取り締まりを強化する指針を打ち出した後には、各投手の投球に明確な変化が起きた。データ解析システムのスタットキャストの計測では、ボールのスピン量を大幅に減らす投手が相次いでいる。

 その筆頭がこの粘着物質の存在を公開したドジャースのトレバー・バウアー投手(30)。昨季のサイ・ヤング賞投手で、開幕から快調に飛ばしていたが、6月12日のレンジャーズ戦では6回1/3を9安打6失点で負け投手になった。6月に入って2連敗。本人は粘着物質との関連を完全否定しているが、今後の投球に全米のメディアの目が注がれることになる。

 ニューヨーク・タイムズ紙は「大リーグ機構が取り締まりを強化するとの情報が米メディアに流れ得て以降、自主的に粘着物質の使用をやめる投手が増えてきたとみられ、『スタットキャスト』によるとこの1週間でスピン量が今季最低になった。6月21日以降、さらに落ちる可能性がある」と締めくくった。

 日本人投手も、大リーグの滑るボール対策として、あの手この手の策を施してきた。

 ある日本人元投手は、必ず長袖のアンダーシャツを着用。「グラブをはめている手の手首に松ヤニを塗り、それをこっそり指につけて投球していた」という。

 一昨年5月には、メジャー1年目だったマリナーズ・菊池雄星投手の帽子のつばの裏に、松ヤニがベットリついている画像がSNS上で拡散し、米メディアでも大きく取り上げられた。しかし、対戦相手だったヤンキースや大リーグ機構もこれを問題視しなかった。

 「後ろ髪の部分に松ヤニを塗って投球していた」という日本人投手もいた。

 長年「バレないようにやればいい」という暗黙の了解のもとで、松ヤニが使われてきたが、やりすぎが目に余るようになってきたということのようだ。

 ただ、今回の規制強化で大リーグの試合は大きく変化する可能性がある。

 粘着物質の使用禁止が厳格になると打者が有利になってくる可能性がある。投手成績が下がり、四球、安打、本塁打などが増えることも考えられる。前半戦で好調だったチームや投手が急に成績を落とすことも考えられることから、目が離せないシーズンになりそうだ。

zakzak


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