【国家の流儀】経済界も「中国の脅威」問題視 領海侵入にサイバー攻撃…高まる安全保障への関心、関西経済同友会が提言発表 - イザ!

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経済界も「中国の脅威」問題視 領海侵入にサイバー攻撃…高まる安全保障への関心、関西経済同友会が提言発表

中国建国70周年の軍事パレード(新華社=共同)
中国建国70周年の軍事パレード(新華社=共同)

 菅義偉首相と、ジョー・バイデン大統領は4月の日米首脳会談の共同声明で、中国共産党政権による人権弾圧や知的財産権侵害、軍事的覇権拡大を意識して、「インド太平洋地域における繁栄を達成し、経済秩序を維持する」と宣言した。経済を武器とする「経済安全保障」の本格化といえ、今後、先端技術の対中輸出制限など、経済分野における日米同盟が強化・発動されそうだ。こうしたなか、中国への依存度が高かった日本の経済界からも「中国の脅威」を問題視し、安全保障を重視する意見が出てきた。評論家の江崎道朗氏が解説する。


 「経済界なんて安全保障のことを考えていない」「中国によるウイグル弾圧に無関心な経済界でいいのか」

 そんな批判を目にすることが多くなった。

 だが、経済界もまた一枚岩ではない。意外かもしれないが、安全保障について関心を抱く経営者は決して少なくない。

 例えば、関西経済同友会「安全保障委員会」は5月17日、3年ぶりに「切れ目のない安全保障体制の実現へ~激化する米中覇権争いの今、東アジアの安定に向けて我が国がなすべきこと~」と題する提言を発表した。

 関西の経済界は、中国や韓国との結びつきが強い。だからこそ、ビジネスを通じてその危険性を痛感し、「日本の防衛を何とかしなければ」と考えている経営者もまた多いのだ。

 では、今回の提言のテーマは何か。

 それはズバリ、中国の脅威だ。提言の「はじめに」でこう書いている。

 《中国は、直近30年間で国防費を約44倍(2021年は我が国国防費の4倍)に拡大。建国100周年となる2049年に向けて覇権的な行動を一層強めている。我が国に対しては、尖閣諸島沖合への領海侵入を積極化するなど伝統的分野での圧力を高めているほか、サイバー攻撃もエスカレートさせている模様である》

 要は、台頭する中国の脅威にいかに立ち向かうのか、という問題意識なのだ。

 この提言で注目すべきは、3番目の「『経済の安全保障』の観点から、産業界の垣根を越えた協力体制の構築を」だ。

 《米国や中国の輸出規制などに日本企業が巻き込まれる危険性は、ますます高まっている》が、《米国や中国による輸出規制や輸出制裁が自社に及ぼす影響やリスク認識、あるいは、自社の製品が、供給元/供給先として、どのように作られ、第三国などで使われているのかといった実態把握について、各企業や個人で行う情報収集や対応策には限界がある》と指摘する。

 そこで、どの技術や製品が安全保障上、重要なのかを、《政府はまず、経済安全保障の観点から、企業、大学や研究機関などの調査を行》い、その結果を公表すべきだと提言している。

 それは経済界として、「政府の調査に協力する用意がある」ということでもある。政府の調査に協力するのは面倒だし、コストもかかる。だが、政府の調査に協力し、安全保障上、重要な技術が中国などから盗まれないようにしようではないかと、全国の経営者に訴えているわけだ。

 日本の優れた技術を守り、日本経済を発展させていくためにも、この関西経済同友会の提言に呼応する企業を応援したいものだ。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障やインテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞、2019年はフジサンケイグループの正論新風賞を受賞した。著書に『インテリジェンスと保守自由主義-新型コロナに見る日本の動向』(青林堂)、『米国共産党調書-外務省アメリカ局第一課作成』(育鵬社)など多数。

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