“グレー職場”って何だ!?  社員の声から見る“あるある”風土とは? - イザ!

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“グレー職場”って何だ!?  社員の声から見る“あるある”風土とは?

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ホワイトのつもりだったのに……実際は限りなくブラックに近いグレーかも?(画像はイメージ 出所:ゲッティイメージズ)
ホワイトのつもりだったのに……実際は限りなくブラックに近いグレーかも?(画像はイメージ 出所:ゲッティイメージズ)

「ブラック企業」という言葉が世に出て10年以上たちますが、最近ではあまり話題に上らなくなりました。

働き方改革や法的な残業上限規制、コロナ禍によるリモートワークの導入など労働時間マネジメントが推進されていますが、ブラックと言われるほどひどくなくても、なんらかの問題を抱えている“グレーなもの”は職場単位では数多く存在しているのではないでしょうか。

“グレー職場”ってどんな職場?

厚生労働省のWebサイト「確かめよう労働条件」では、ブラック企業について以下のように説明しています。

厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、

(1)労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す

(2)賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い

(3)このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

などと言われています。

上記(1)~(3)に関して「過度」「極端」な場合がブラックということになりますが、実際は程度の問題であり、大多数の職場はホワイトとブラックの間、つまりグレーな職場ではないでしょうか。

今回、流通業界に勤めている(または勤めていた)社員の方々に話を伺うことができたので、インタビューを基にブラックに近いグレーな職場の実態を探ってみましょう。

【グレー職場あるある(1)】時間外労働が当たり前に?

全国で小売業のフランチャイズ展開をしている会社で、店舗指導員として働いている高津さん(仮名)は、長時間労働が強制削減されたと語っていました。

「新卒入社当時から月100時間程度の残業は当たり前で、年間の休みは正味75日くらいでした。大学の同期から120日以上休みがあると聞いて、軽くショック受けたことを覚えています。ひどいときは、担当する店舗のアルバイトがインフルエンザにかかって、人の手配がつかず代わりに店舗に入ることになり、まさに24時間働きました。それが、電通の過労死事件後は、週休2日体制で残業も月45時間以内に収めることになり、時間的にはかなり楽になりました」

一般消費者が顧客となる小売りや飲食は、マスコミやネットでやり玉に上がりやすいこともあり、上場企業、有名企業を筆頭に電通事件後の対応が早かったといえます。しかし、中小や個人店では慢性的な人手不足もあり、労働時間の削減は思うように進んでいないという声はよく聞きます。

「残業を月45時間にコントロールしないといけないのですが、労働時間を減らしても、当初は、その分の仕事量までは減らせませんでした。月の後半は、持ち時間といえる残業45時間を使い果たすと、サービス残業せざるを得ない状況が続いたので、そんなことなら以前のように100時間の残業代をしっかりもらえた方がよかったと思ったものです。ですが今は、これまで『無駄なことでは?』と思っていた上司からの指示が少なくなったので、45時間以内で収まることが多いです」(高津さん)

まあ、45時間残業も多い方だと思いますが、サービス残業が常態化しているかどうかがブラックとグレーの違いといえそうです。

【グレー職場あるある(2)】いつの間にか生活が仕事に塗りつぶされる?

大手フランチャイズビジネスでスーパーバイザーをしていた中西さん(仮名)は、「本部が働き方改革の旗を振ってから、出社日の労働時間は少なくなりましたが、会社から支給されている携帯電話は手放せません。休日でもフランチャイジーのオーナーや店長からの問い合わせが来ることも少なくありませんし、テレビの人気番組で自社商品が取り上げられるかどうかのチェックは、翌週の仕入れ・売り上げに影響が出るので欠かせません。もちろん義務でも上司命令でもないのですが、指導先(店舗)のことを思うと対応してしまいます」といいます。

休日対応や待機時間などは会社に申請すれば残業として認められるものの、「現実には先輩は残業申請していない」など暗黙のルールが存在しているという話は、会社単位ではコンプライアンス意識の向上もあって改善しています。しかし、職場単位(上司の考え)ではまだまだ存在しているようです。

さらに、残業代については「大学時代の友人たちからは『多くて(新人でも10数万円以上)いいね』と言われましたが、その反面、自腹を切る機会が結構ありました。休日でも担当するお店の近くにいくと、つい立ち寄って売れ行きチェックをしたりして、まさに生活が仕事に塗りつぶされていきました」(高津さん)

「お中元やクリスマス、お歳暮の時期になるとキャンペーンで販促活動をします。需要がないと、自分の家族や友人・知人、親戚縁者に頼むことになりますし、それでも目標数字が足りないと自分で買っていました」(中西さん)という、切実な悩みも聞こえてきます。

【グレー職場あるある(3)】上司が同調圧力で支配?

中西さんの話は続きます。「『みんな辛いけど、頑張っているんだ。一緒に頑張ろう!』という同調圧力が強かったです。でも、頑張ったから何か見返りがあったかというと、具体的な恩恵を感じたことはありませんでした。結局、上司は自身の出世のために暗黙の了解というか、不文律というか、そういう圧力で部下をコントロールしていたのだと思います」

こういう管理職は少なくありません。業務命令だと部下は従わざるを得ない代わりに、上司は結果責任を負います。しかし、同調圧力は具体的な指示をしなくても部下が忖度して動いてくれるので、仮に失敗しても「部下が勝手にやった」という言い逃れが可能となります。「上司の出世のために自分たちは使われている」と部下が思うのも無理のないことです。

このような上司は企業規模に関係なく存在しますが、大企業・有名企業になるほど、上司の同調圧力に部下が迎合する傾向が強くなります。

部下からすると、「せっかく有名(優良)企業に入ったのだから何とか踏ん張って出世しよう。落ちこぼれないように頑張るしかない」というマインドになりがちで、「もう辞めたい。辞めよう」という選択肢を持ちにくいものです。それが高じてメンタル不全になることもままあります。上司もそれでやってきて今のポジションにいるので、出世の条件あるいは、この会社で生き残っていくための処世術という考えに至ってしまうようです。

【グレー職場あるある(4)】リモートワークで過重労働化?

しかし、上司の立場ならではの“グレーな環境もあります。

コロナ禍以降リモートワークを導入する企業が増えましたが、運用があいまいでサービス残業化しているという話はよく耳にします。

まず一般社員で見ると、在宅であるが故にかえって非効率かつ無為に時間を過ごしてしまったり、一定のアウトプットを出すためにパソコンの前に座っている時間(労働時間と言えるか?)が長くなってしまったり――。問題はあれど、在宅で処理できる仕事がある程度制限されることもあり、定時かつ、在宅ワークの範囲内で終えることを前提に仕事をしている方は多いようです。

ですが、管理職はそうはいきません。

リモートワーク前は、一日の仕事の中で、会議と会議の間や顧客との打ち合わせなどで移動する時間がありました。「忙しい」と言いつつもお茶を飲んで頭を切り替えたり、部下を捕まえて指導・雑談したりといった余裕も生まれます。

ところが、メーカーの人事部で管理職を務める大島さん(仮名)は、「リモートワークではそういった時間が取れずに、社内だけでなく社外の方とのミーティングが間髪入れず設定可能になりました。これまで1日2回程度だった打ち合わせが5回、6回と時間的に休憩なしでこなす体制になってしまいました」と話します。

働き方改革が進み、社内では18時以降の会議室利用が禁止されている企業でも、リモート会議だと周囲に知られないことがあります。こうして、残業手当のつかない管理職を中心に、過重労働化しているようです。

ホワイトになり切れない理由って?

ホワイト企業総合研究所によると、「イキイキと働くための良い環境が整っている会社」をホワイト企業として、その特徴を次のようにまとめています。

(1)社員の健康や労働時間などを重視し、長く働きやすい環境を提供

(2)給料が良く福利厚生も充実

(3)キャリアアップにつながる

(4)同期の仲がとても良く、よく集まって飲んでいる

(5)情状酌量の余地があり、簡単にクビを切らない

これらを全て満たした企業がホワイト企業だとすると、余裕のある一部の大企業では可能でも、コロナ禍で業績が悪化している企業ではかなりハードルは高いと言わざるを得ません。

例えば、(1)の「長く働きやすい環境」は、働き方改革の一環として最も取り組みやすい項目ですが、会社業績が低迷している状況では、個々人の働き方よりも会社利益を優先せざるを得ません。

創意工夫で生産性を高めることよりも、上記してきたように表面的な残業規制のもと、業績悪化に歯止めをかけるためにサービス残業化する可能性もあります。(2)の「給料が良く福利厚生も充実」は、そもそもビジネスモデルが変わらない限り簡単にできるものでもありません。

(3)の「キャリアアップにつながる」は、本人のキャリア感による部分が大きいですが、自分のキャリアを自分で選択できる余地があるかどうかに左右されます。

(4)の「同期と仲が良い」については、イマドキの若者はSNSで同期入社の仲間とずっとつながっているので、新卒採用を行っている企業であれば自然とコミュニティが立ち上がります。しかし、会社のネガティブ情報も波及しやすいので注意が必要です。

(5)の「簡単にクビを切らない」は、社員にとってはありがたいことではありますが、権利は主張するが義務を果たさない不良社員がはびこりやすくなり、組織風土が壊されてしまう可能性があります。

グレー職場の対応策はあるか?

このように考えるとホワイト企業化は、実現すべき目標ではなく、目指す理想像(時代とともに理想も変わる)と捉えられます。重要なのは、ブラック、グレーの度合いを薄めて、よりホワイトに近づくために努力する企業であり続けていくことができるかどうかではないでしょうか。

そういう意味では、ホワイト化に向けての自社なりのKPI(例えば、1人当たり残業時間、健康診断受診率、平均勤続年数、新卒の3年以内の離職率、平均賃金、従業員満足度、1人当たり利益、自己申告実現度、自己啓発支援利用度等々)を設定し、繰り出すホワイト施策を検証していく――こういった地道なスタンスが、会社に求められているといえるでしょう。

麻野進氏(株式会社パルトネール 代表取締役)のプロフィール

1987年関西学院大学法学部政治学科卒。国内系大手コンサルティングファームにて、医療機関を中心に、マーケティング、人事管理等のコンサルティングを担当した後、人事・組織コンサルティングファーム取締役、SI系コンサルティングファーム シニアマネージャーを経て、現職。全能連認定マスターマネジメントコンサルタント、特定社会保険労務士、産業カウンセラー、早稲田大学 大学院会計研究科 非常勤講師『人的資源管理』担当。大企業から中小・零細企業まで企業規模、業種を問わず組織・人事マネジメントに関するコンサルティング活動に従事。人事制度構築の実績は100社を超え、年間1,000人超の管理職に組織マネジメントの方法論を指導し、企業の組織・人事変革を支援している。入社6年でスピード出世を果たし、取締役に就任するも、その後退職に追い込まれた経験などから「マネジメント」「出世」「管理職」「リストラ」「中高年」「労働時間マネジメント」「働き方改革」をテーマとした講演・執筆活動中。

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