池田小事件20年

長男亡くした母「もう一度、『お母さん』と言って」

産経ニュース
「祈りと誓いの集い」の前に行われた安全科の授業=8日午前、大阪府池田市(寺口純平撮影)
「祈りと誓いの集い」の前に行われた安全科の授業=8日午前、大阪府池田市(寺口純平撮影)

児童8人が犠牲となった大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)の児童殺傷事件で長男の戸塚健大(たかひろ)くん=当時(6)=を失った母、正子さんは今年も「祈りと誓いの集い」に家族で足を運んだ。新型コロナウイルス禍が続く中、「以前にも増して、健大のことを想うようになった」正子さん。20年という月日が流れても、「たぁくん」への思いは何一つ変わらない。「もう一度、『お母さん』って言ってほしい」

昨年からのコロナ禍で、「日常が日常でなくなった」ことに戸惑い続けてきた。OGとして参加している池田小のPTAコーラスの活動は休止中で、池田小に足を運ぶ機会はほとんどなくなってしまった。「健大が寂しがっているのでは」と心を痛めた。

コロナ禍がますます深刻になり、人と会うことも語ることも許されない状況で健大くんのことをいつにも増して思う中、あの時と同じ季節がめぐってくると、健大くんと一緒に幸せに過ごした思い出の場所を見るたび、深い悲しみに襲われた。事件当初に感じた、「私が産んだからこんな運命にしてしまった」という自責の念にもかられた。

「魂の抜け殻」のようになり、「乾いた世界の中でただ時間だけが過ぎた。来る日も来る日も、枯れることのない涙を流すしかなかった」20年前。正子さんを救ったのは、健大くんの誕生日に花火大会を開いたり、手紙をくれたりした近所の人や同級生の保護者など、周りの人々との触れ合いだった。人との接触を避けることが求められるコロナ禍は、人との触れ合いで「いかに自分が救われていたか」を、正子さんに痛感させた。

43日しか通えなかったが、学校が大好きだった健大くん。正子さんは、事件の8日前に健大くんが学校で植えた朝顔からとった種を、毎年植えては継いできた。事件後に誕生した次男が池田小を卒業した4年前でいったん植えるのをやめたが、コロナ禍が落ち着いたら再開するつもりだ。

月日の経過とコロナ禍により、「遠く」なっていた池田小。だが、「あの日の健大とつながれる大切な場所であり、かけがえのない存在」だと改めて思うとともに、変わらぬ願いがある。

「もう二度とこのような事件に子供たちが遭うことがないよう、社会全体で安全安心な学校を目指してほしい」

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