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「チャイナ症候群」アジアに蔓延か 習政権、ワクチン外交によって恩を売り東南アジアを従わせる

 新型コロナウイルス・パンデミック(世界的大流行)の大波は米欧で終息に向かう一方で、これまで穏やかだったアジアに打ち寄せている。ここで気掛かりなのは、中国の東南アジアにおける影響力拡大である。

 本欄前回では、コロナ禍の発生源となった中国が「ストックホルム・シンドローム(症候群)」を引き起こしつつあると指摘した。同症候群はテロリストなどに拘束された人質が、食べ物提供やトイレに行く許可を出す犯人に対して感謝の念が湧き、次第に好意的な印象を持つようになることを指す。

 中国の習近平政権はワクチン外交によって恩を売り、東南アジアを従わせるだろう。ならば、ストックホルム症候群ならぬ「チャイナ症候群」がアジアに蔓延(まんえん)するのではないか。

 グラフは5月末までの国別新型コロナ感染速度である。日ごとの累積感染者数の2週間平均値の2週間前比増減率を算出してみると感染速度を表す曲線が浮かび上がる。米英の感染速度がゼロに近づくのと対照的に、日本は「中波」が引かず、インドが「大波」から「中波」、ベトナム、タイが「大波」、マレーシアが「中波」の盛り上がりに直面している。

 米英のコロナ感染波の後退はワクチン接種の普及が功を奏しており、5月末の接種率は米英が9割前後である。対照的に、日本は10%にも達せず、世界全体の平均24%にはるか及ばない。インドは15%だが、ベトナム1%、マレーシア6%などと東南アジアは全般的に接種が緒に就いたばかりである。

 本来なら「医療先進国」であるはずの日本が米英とは間を置かず、ワクチンの国産化を速やかに進め、アジア各国に提供すべきなのだが、それどころではなくファイザー社など米欧の製薬大手から確保するのにきゅうきゅうとしている。

 中国は、というと、ワクチンを国産化した。中国人民の接種率は4割を超えているが、評判は芳しくない。上海の知人によると、副反応を恐れたり、効き目に疑問を持ったりする市民が多く、地方政府が食用油や褒賞金付きで接種を呼びかけるありさまだ。それでも普及速度が遅ければ、未接種の市民は外出制限を課されかねない。

 そんな中国産ワクチンでも、ワクチン確保がままならない国々にとっては「干天の慈雨」となる。発展途上国の多くは中国武漢発の新型コロナに苦しめられながらも、台湾の世界保健機関(WHO)総会へのオブザーバー参加に反対する中国に同調し、米英などで検証が進んでいる武漢ウイルス研究所からのウイルス流出疑惑を全面否定する中国を支持する。

 先の緊急事態宣言期限延長決定時の菅義偉首相は記者会見で「6月中旬以降は100万回に対応する体制ができてくる」と述べたが、ワクチン国産化やワクチン接種100%までの日程には触れず、依然不明のままだ。これでは景気の先行き見通しも立たないばかりか、対アジア外交も習政権のなすがままにされかねないではないか。(産経新聞特別記者・田村秀男)

zakzak

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