東京商工リサーチは4日、上場企業が今年に入って募集した早期・希望退職の人数が、3日までに1万人を突破したと発表した。前年より3カ月程度早い。実施企業は50社で、前年の同時期に比べ17社増えた。新型コロナウイルス感染の長期化で業績が悪化し、人員削減に踏み切る動きが広がっている。
通年では、前年の1万8635人を超え、世界的な金融危機を招いたリーマン・ショック後の平成21年以来の高水準となる可能性がある。
今年、募集人数が最も多いのは日本たばこ産業(JT)の2950人で、近畿日本ツーリストを傘下に持つ旅行大手KNT―CTホールディングスの1376人が続いた。半数超の27社は100人以下の募集で、中堅企業も目立った。
業種別で見ると、外出自粛などで販売が落ち込むアパレル・繊維製品が8社と最多だった。生産拠点の集約が進む電気機器が7社、観光関連が4社だった。
実施した50社のうち約7割の34社は直近の通期決算で最終損益が赤字だった。