習政権、「負の歴史」封印 党創立100年控え

産経ニュース

【北京=三塚聖平、台北=矢板明夫】中国で民主化運動が武力鎮圧された天安門事件から4日で32年となったが、習近平政権は抗議や追悼、異論を徹底的に押さえ込んだ。中国共産党創立100年を控え、共産党統治の正当性を大々的にアピールする中で、力により党の「負の歴史」を封印している。

事件の舞台である天安門広場では、7月1日に行われる党創立100年の記念式典用とみられる機材設置作業が進められている。厳重な警備態勢を除けば、事件を思い起こさせるものは一切ない。

中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は3日の記者会見で、武力鎮圧した当時の党指導部の判断は「完全に正しかった」と正当化した。今年出版された党の歴史に関する公式見解をまとめた書籍では、天安門事件について「果断な措置をとり、北京の反革命暴乱を一挙に平定した」という見解を示した。多くの死傷者を出したことには触れていない。

天安門事件の犠牲者数に関しては、いまだ明らかになっていない。中国政府は事件後、「死者319人」と発表したが、数千人から1万人規模との見方もある。

天安門事件の遺族グループ「天安門の母」は声明で、党や政府によって事件に関する情報が封じ込められていると強調。多くの若者が事件について「知らない、もしくは信じない」と指摘するように、歴史の封印による事件の風化が進められている。

4日、香港で追悼活動が押さえ込まれる中、台湾では、香港の代わりに台北市内の公園で追悼集会を開催する計画が進められていた。台湾に逃れている香港人が作る民主派団体や、香港の民主化を支援する台湾の関係者らが中心だが、台湾でコロナ感染が拡大したため断念し、オンラインでの集会を開催した。

台湾在住の香港人弁護士は「天安門事件の犠牲者を追悼する集会は、30年以上の伝統があり、香港の民主化運動のシンボルでもある。形を変えても続けたい」と話している。

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