【ニューヨーク=平田雄介】中米グアテマラのジャマテイ大統領は3日、米国から新型コロナウイルスのワクチン50万回分の提供を受けると発表した。ロイター通信が同日配信した単独インタビューでは、中国製ワクチンを調達しないとし、台湾との外交関係を維持する一方、「北京との関係樹立を模索しない」と明言。中国が影響力拡大を目指す「ワクチン外交」に屈しない姿勢を示した。
グアテマラが米国から提供を受けるのは、米ホワイトハウスが同日発表した海外提供2500万回分の一部。米政府高官は「政治的意図はない」としているが、米国の〝裏庭〟とされる中南米での中国の浸透を食い止める形となった。
ジャマテイ氏はロイターのインタビューの中で「中国からのワクチン調達には興味がない」と語り、理由について「有効性が低い」と述べた。台湾に対して長年の関係に基づく「忠誠心がある」とも語った。
中国がワクチン提供と引き換えに台湾と断交するよう中米ホンジュラスや南米パラグアイに圧力をかける中での発言で、台湾メディアは、台湾の外交部(外務省に相当)が同日、感謝の意を示したことを速報。既存の協力関係を基礎として新型コロナに対抗し、永続的な繁栄と発展を促進していくという方針を伝えた。
中南米で台湾と外交関係があるグアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パラグアイの4カ国はワクチン接種率が2~4%台と、世界平均の11・08%を大きく下回る。中国の圧力で、ワクチンが入手しづらくなっていると伝えられてきた。
中南米ではブラジルの熱帯雨林アマゾンで発生した変異株が猛威を振るい、被害が深刻化。3日までの死者数は115万人を超え、世界の3割を占めている。