【シンガポール=森浩】東南アジア諸国連合(ASEAN)の代表は4日、訪問先のミャンマーの首都ネピドーで、ミン・アウン・フライン国軍総司令官と会談した。代表は総司令官に対し、4月に合意されたASEAN特使の受け入れなどの実施を呼びかけたもようだ。国軍は早期の合意実施には消極的で、会談によってASEAN側に歩み寄るかは未知数だ。
ミャンマーを訪問したのは、今年の議長国を務めるブルネイのエルワン第2外相とリム・ジョクホイASEAN事務局長。国軍に拘束されているアウン・サン・スー・チー氏や、同氏を支持する民主派との面会は実現しない可能性が高い。
ASEANは総司令官も出席した4月24日の特別首脳会議で、国内の当事者間の調停役を果たす特使派遣や、暴力の即時停止など5項目で合意した。だが、国軍側はその後、合意について「国内の状況が安定したときに慎重に検討する」と表明し、早期の実施に慎重な姿勢を示している。
ASEANはミャンマー問題を解決に導き、域内での紛争解決能力を国際社会にアピールしたい考えだが、内政不干渉の原則から強い介入には及び腰だ。加盟国間では特使の人選や活動内容をめぐって意見の相違があり、足並みの乱れも見えている。
一方、総司令官は3日には、赤十字国際委員会のマウラー委員長と会談。海外要人と面会し、自らを国の支配者としてアピールする動きを強めている。